裏 の 関 係

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ヒカルsaid




その日はとてもイライラしていた。




彼女とも上手くいかず、仕事も立て続けにキャンセルされた。




いつもは見上げて歩く渋谷のスクリーンさえも鬱陶しい。




スクランブル交差点には沢山の人。




1人で歩っている人もデカイ声で話している若者も。




それを迷惑そうに見る大人達も。




全ていつも通りなのに。




その日だけはイラついた。




全て上手くいっていたのに。




動画も上手くいっていて、彼女ともいい関係だった。




動画の件はしょうがない。




たまたまキャンセルがかぶっただけ。




彼女に関しては俺が悪い。




忙しい毎日の隙間を見つけて電話したり、飯に行ったりしたものの。




寂しい思いをさせているにも関わらず気が付かない振りをした。




自分が悪いのがわかっているからイライラする。




信号は青になり、一斉に人が動き出す。




いつもと変わらない毎日。




いつもと変わらない風景。




いつもと変わらない自分。




あの時、日常に飽きていなければ。




あいつに出会わなければ…。




ずっといつも通りだったかもしれない。




このままの毎日だったはずなのに。




渋谷にあるホテル街。




若い男女が仲睦まじそうに入っていく。




大通りに出ようと角を曲がったとき。




女とぶつかりそうになった。




ふわりと香る香水。




振り返る女。




これが全ての始まりだった。

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