味方@緑 ページ39
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阿部 side
朝比奈「阿部ちゃん。私、行きたい大学があるの」
雑誌の撮影の合間。
他のメンバーが撮影してるのを見ながら、少し離れた所で座っておしゃべりしていると、朝比奈ちゃんがそう切り出した。
そっか、もうそんな時期か。
俺「どこ行きたいの？」
朝比奈「○○」
俺「…なんて？」
朝比奈ちゃんが出したのは、誰もがその名を知る某有名大学だった。
いや、待て。
確かこの子頭良かったはず。
朝比奈「そこの文学部に行きたいんだ」
俺「そっか。あれ、でもそこ通信制あったっけ？」
朝比奈「ないよ」
俺「…って事は」
朝比奈「通おうかと思って」
…え？
あなたグループの中でも、特に最近仕事忙しい組だよね？
阿部「それはー、ちょっと、」
無理があるんじゃないかな。
受かったとしても、単位が取れるかどうか。
何て伝えればいいのか。
そもそも、応援すべきなのか、説得すべきなのか。
そんな俺の葛藤を他所に、朝比奈ちゃんは笑顔で俺を見上げた。
朝比奈「私ね、夢があるんだ」
俺「夢？」
朝比奈「うん。Snow Manが日本だけじゃなくて、世界中のファンの人にも会いに行けるようになった時。私が通訳出来たら、いいなって」
「今はまだ、しゃべるのは上手じゃないんだけど」なんて、恥ずかしそうに笑う彼女を、見て。
俺「かっこいい夢だね」
朝比奈「本当？実はこの夢、話したの阿部ちゃんが初めてなんだぁ」
俺「俺が初めて？」
朝比奈「うん、だって前に、大学行きたいところに行けるように協力してくれるって言ったじゃない？」
加入当時。
行きたかった高校を諦めた彼女にかけた言葉。
覚えててくれたんだ。
俺「それじゃあ、協力しないわけには行かないよね」
朝比奈「本当に？」
正直、事務所にもメンバーにも、反対されると思う。
大学に行き始めてからだって、茨の道だ。
それでも。
朝比奈「阿部ちゃんが味方なら、百人力だね！」
彼女の夢を応援するため。
この笑顔を守るため。
俺にできることだったら、なんだってしてあげる。
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作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月19日 19時
