イチバンボシ。２ (ページ31)

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俺「A」

朝比奈「！岩本さん…」

やっと見つけ出したAは…

スタジオ内の暗幕の裏に隠れていた。

子供か。

暗幕のカーテンを捲ると、窓の外の景色を見ていたAは驚いた顔で俺を見上げる。

そしてすぐに目を逸らし後退りをするのを見て、慌てて腕を掴んだ。

俺「…細」

朝比奈「え！毎日筋トレしてるのに！」

俺の手で掴みきれてしまう二の腕に、思わず感想を漏らすと、反射的に声を上げたAは、しまったという顔をして。

俺「トレーニング、手伝わせてよ」

朝比奈「でも、」

俺「心配かけてごめん。でも俺、Aと離れる気ないから」

手を離して、目線を合わせるように屈んで、しっかりと目を見てそう伝える。

Aは少し迷ったように目線を彷徨わせたけど、覚悟を決めたように頷いた。

そんなAの頭をくしゃりと撫で、メンバーの元へと戻ろうと暗幕から出る。

朝比奈「岩本さん」

俺「ん？」

朝比奈「おんぶして！」

俺「嫌だよ」

朝比奈「お願い！」

俺「…その岩本さん、って呼び方やめてくれたらいいよ」

そう言うと、不思議そうに目をぱちくりさせ、すぐに笑顔になる。

朝比奈「照くん！」

俺「ん。ほら」

満足した俺が背を向けると、思いっきり飛び乗って来たA。

俺「遠慮ないな」

朝比奈「あれ、渾身のタックルが効かない…」

俺「そんな華奢な体じゃ、俺はビクともしないよ」

朝比奈「もっと鍛えます！」

俺「うん、俺ももっと鍛えるけどね」

そのままおんぶしながらメンバーの元へと戻ると、驚かれた。

それでも嬉しそうなAを見て、微笑ましそうに笑って。

向井「何の話してたん？」

朝比奈「筋肉！」

…あながち間違いではないけど。

こうやって、素直に甘えてくれるようになるなんて、最初の頃は考えられなかったよな。

なんて、何気ない日常の幸せを噛み締めた。

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