迷子@青 ページ34
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渡辺 side
俺「何してんの。こんな所で」
朝比奈「…翔太くん？」
8.8祭。
デビュー発表の日。
楽屋に朝比奈の姿がなくてみんなで探していると、舞台裏の衣装ラックの下で衣装に埋もれ、体育座りをする朝比奈らしき足、を見つけた。
どうやったらそんな場所に隠れようと思うんだ？
声を掛けると小さな声が返ってきた。
衣装を左右に掻き分けると、泣きそうな顔の朝比奈が顔を出した。
何やってんだ、コイツは。
俺「ほら」
手を差し出すと、素直にその手に掴まり立ち上がる。
俺「何、デビュー嫌になったの？」
朝比奈「違います！…ただ、緊張、しちゃって」
俺「うん、俺もしてる」
朝比奈「私なんかよりも、他の人の方が思う事もあるだろうから、迷惑かけたくなくて」
俺「それでこんな所に？」
朝比奈「…はい」
俺「馬鹿じゃないの？」
朝比奈はそんな俺の言葉に顔を上げた。
…そんな捨てられた子犬みたいな顔すんなよな。
俺「メンバーには迷惑かけろって。いつも言ってるだろ。…俺以外の奴が」
メンバーみんな、いつも気に掛けてるし。
俺だって直接言葉にはしないけど、そう思ってる。
朝比奈「…でも、楽屋、SixTONESさんもTravisJapanさんもいるじゃないですか。そんな所でうじうじしてたら、メンバー以外にも迷惑かけちゃうので」
俺「…」
それはそうなんだけど。
俺「一丁前に言い返すな」
朝比奈「いてっ。暴力！パワハラ！」
デコピンしたおでこを押さえた朝比奈は、いつもの調子に戻ったようで。
コイツは一人で考え込むより、誰かと話してた方が緊張しなくていいんじゃないか？
ピーピー言ってる朝比奈を適当にあしらいながら、メンバーの元へと向かった。
ふっか死にそうな顔してたもんなー。
早く朝比奈の顔見せて、安心させてやらなきゃ。
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作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月8日 14時
