イチバンボシ。 (ページ22)

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めんどい@青ページ22

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渡辺 side

俺「おはようございまーす…ってうわ！」

滝沢歌舞伎の稽古。

ドアを開けると、ドアの真横で体育座りをする朝比奈さんが目に入り、飛び退いた。

俺「え、何してんの？」

朝比奈「あ、渡辺さん。おはようございます…」

消え入りそうな声で顔を上げた朝比奈さん。

俺「なんか顔ブサイクだよ」

大きなクマにボサボサの髪の毛。

なんかぶつぶつ呟いてるし、怖…

目黒「翔太くん、女の子にそれはないんじゃないですか？」

渡辺「え、だって」

宮舘「翔太、良くない」

渡辺「…」

本当の事じゃん！！

向井「どしたん、そんなぶつぶつ言うて」

どこからか来た康二が朝比奈さんの前にしゃがみ込み、髪を整えてあげる。

朝比奈「歌が…分からなくなって」

向井「歌？」

歌舞伎の演目に出れない朝比奈さんは、特別にソロ曲がある。

ソロで歌って踊る。

完全に朝比奈さんだけのステージだ。

朝比奈「何か、元々ある曲を歌うのと訳が違うっていうか、正解が何なのか分からなくて」

向井「また寝てないん？もー、ほら、あっちでなんか飲んで休憩しよ」

そう言って彼女を立ち上がらせ、そのまま手を引いて行った康二。

…兄妹？

佐久間「翔太の出番じゃなーい？」

俺「え、何で？」

ラウ「僕も翔太くんに教えて貰いたい！」

俺「いや教えるほどのもんでは、」

先生「はいはい、稽古始めるよー！」

あの子、真面目なんだろうな。

なんて呑気な事を思っていた。

俺「うわっ！」

翌日。

トイレから出ると、ちょうど隣の女子トイレから出てきた朝比奈さんとばったり。

昨日よりもクマが濃くなってる気がする。

朝比奈「毎回うわっ、は酷くないですか？」

俺「いや、朝比奈さんの顔が怖すぎんのよ」

朝比奈「…」

俺「ごめんって」

１５歳。

色んな壁やプレッシャーを乗り越えて大きくなるんだぞ。

そう思いながら歩き出すと、後ろから背中辺りの服をガシッと掴まれた。

俺「ちょ、死ぬって…」

朝比奈「渡辺さん。時間ありますか？」

俺「ないです」

朝比奈「先生には渡辺さん借りる許可貰ってます」

先生、勝手に貸し出ししないで？

俺だってまだ殺陣とか自信ないんだから、

まだ返事を返してないのに、朝比奈さんに引き摺られるがまま、移動させられた。

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