挨拶@黄 ページ38
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岩本 side
閑静な住宅街。
インターホンを鳴らすと、しばらくしてドアが開いた。
朝比奈「…どうぞ」
顔を出した朝比奈さんは俺らを見て、何とも言えない顔をして俺らを中へと招き入れた。
デビューが決まって、メンバーと話し合った結果。
代表して俺とふっかが、朝比奈さんとラウールの親御さんに挨拶に行く事になった。
二人はそんな事しなくていいですって言ってたけど、これは俺らのけじめでもあるから。
メンバーとはいえ、弱冠１６歳の大切なお子さんを預かるという責任。
先日ラウールの家への挨拶を済ませ、今日は朝比奈さん家へ。
朝比奈さんを見て笑顔で手を振るふっか。
玄関に入ると既にお母様が居て、慌てて手を下げていた。
俺「本日はお時間頂きまして、ありがとうございます」
母「いいえ〜」
優しそうな笑顔のお母様とは対照的に、口を真横に結んだまま開かないお父様。
緊張からか、冷や汗が止まらない。
俺「今回お邪魔させて頂いたのは、僕達の勝手な決意の表明なんですが＿」
まずはご挨拶が遅くなった事、デビューの報告、まだ未成年のメンバーを俺らでしっかりと守っていくという事。
緊張しながらも、ふっかと代わりばんこでお伝えして。
そして黙って聞いていたお父様が口を開いた。
父「娘を、よろしくお願いします」
そう言って、お母様と一緒に頭を下げられて。
俺らも慌てて同じように頭を下げた。
母「ふふっ、何だか結婚の挨拶みたいね」
父「え！？」
母「お前に娘はやらん！って言っとく？」
朝比奈「やめてよママ」
深澤「お母さん、お父さんの顔が強張ってるので」
父「お母さん、お父さん…？」
深澤「あっ、いや、ちがっ」
和やかな(？)雰囲気の中、ご飯まで頂いて。
帰り際、外まで朝比奈さんが見送りに出て来てくれた。
深澤「今日はありがとねぇ」
俺「ご両親にも改めてお伝えください」
朝比奈「こちらこそ、ありがとうございました。…まさかスーツで来るなんて思わなかったですけど」
深澤「気合い入れてね」
真面目なお父様と、人が良さそうなお母様。
朝比奈さんはどちらにも似てるんだなって。
いいご両親に育てられたから、こんな素直なんだろうな。
俺「じゃあ、またね」
朝比奈「はい、おやすみなさい」
深澤「おやすみ」
彼女が家の中に入るのを見届けてから、帰路についた。
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作者名：うさみ
| 作成日時：2023年7月8日 14時
