191 ページ6
ーーー
ーー
ー
乳白色に染まった湯に、ゆっくりと身体を沈めていく。
ほのかに香るカモミールの匂いが心を落ち着かせる。
『…はぁ……』
天井をぼーっと見ながら出てくる溜め息。
硝子から悟と傑が無事に目を覚ました。
と、連絡をもらったのは、約１ヶ月前。
２人から連絡が来ると思っていたが、音沙汰はなく…
学校や任務先で会うこともなく過ぎた。
このまま私への気持ちなど忘れて、自然と同僚になることを望んでいた。
そうなってくれた方が良かった。
…が、今日、悟から連絡が来た。
《明後日、３人でちゃんと話がしたい。
マンションに来て欲しい》
悪かったと詫びをいれたいのだろうか…
そんな事なら校内で立ち話でも、電話でも良い。
２人に好いていると告げられ、過去を思い出しカッと頭に血が上っていたが…
１ヶ月も経てば私も冷静になり、考えも気持ちも落ち着いた。
今の２人には、何の罪もない。
前の世界の２人…特に悟には恨みはある。
が、今の悟には関係の無いことだ。
それは、ずっと考えていた。
だからこそ、２人の助けになればと関わりを持った。
〖愛〗なんて呪いだ。
呪いの言葉を吐いたから、今の２人は私に好意を抱いていると勘違いを起こした。
そうに決まっている。
『……愛してる…か…』
その言葉が…
欲しくて、欲しくて、欲しくて……
恨めしくて…
捨てたい感情なのに…
それでも欲しくて…
足掻いて足掻いて…死んだ。
『…もう、要らない……愛なんて…』
愛なんて信じられない。
愛なんて要らない。
愛なんて幻だ。幻想だ。
『愛なんて…この水と一緒…』
両手に掬い上げた湯は、指の隙間から流れ落ちていく。
その湯の様に、愛なんて流れ落ちていく。
目を瞑り、思い出すは、前の世界の悟。
好きだった。
本当に…好きだった。
大好きだった。
『……さよなら、悟…』
もう貴方を想うことはない。
もう貴方に振り回されることはない。
もう貴方を愛すことはない。
『……さよなら、傑…』
もう貴方の言葉に支えて貰う必要はない。
もう貴方の愛の囁きに傾くことはない。
もう貴方の愛を利用しない。
『………さよなら、私…』
さよなら、愛に飢える惨めな私。
さよなら、弱い私。
さよなら、他人のせいにする私。
さよなら、五条A。
さよなら、過去の私。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3689人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
saaachn(プロフ) - 久しぶりに開いたら更新されてて1から読み直しました！😭完結お疲れ様です！そして続編の更新待ってます☺️この作品本当に大好きです！♡ (4月29日 22時) (
レス) @page18 id: cc2ddad66d (このIDを非表示/違反報告)
louis06210221(プロフ) - 楽しすぎて更新されるまで作者さんの過去作品を繰り返し読むくらいに好きです。無理せずに更新して是非完結まで持っていってくださるととても嬉しいです！応援してます！ (3月17日 1時) (レス) @page8 id: e23c89d8cd (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - 受け入れてもらえるには『よっぽどの事がないと無理』だな…今の先生は前世の先生よりはクズじゃないけど…五条先生頑張って！…それから、こっちの世界の愛桜にもキツイ罰を与えておいてほしいです！😡💢 (2月28日 7時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
しろりん(プロフ) - ようやく…２人とも前世を思い出したけど…できたら今世で夢主ちゃんと五条先生に子供が生まれたら『誠悟くんだけじゃなくて、あの時『愛桜にお腹を刺されて殺されてしまった２人目の子供も生まれて来てほしい』です…夢主ちゃんが今世の五条先生の事を (2月28日 7時) (レス) id: 2a6843f9ca (このIDを非表示/違反報告)
ラッパ - 更新して頂いて、ありがとうございます！雪椿さんの作品が夢小説で1番好きです。応援してます！ (2月26日 20時) (レス) @page1 id: 5c12bbbdf1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪椿
| 作成日時：2024年2月24日 17時
