320 ページ39
五条side
・
黙って窓からの空を見上げているAの姿をずっと見ている。
彼女は治療を拒否し、食事なども拒否していた。
医師からもこのままでは内蔵機能が低下し、命の危険があると言われた。
せめて食事だけでも取ってくれれば……彼女が生きてさえくれれば良い。
今日はお義母さんたちが来る。
もしかしたら、彼女を説得して治療を受けさせる事が出来るかもしれない。
『A、喉乾かない？飲み物もゼリーとかもあるから…あ、リンゴとか果物でも…』
「……」
『…欲しくなったら言ってね…』
分かっている。
彼女が一番望んでることは死ぬこと。
でもそんな事はさせない。
…離婚をしたら、もしかしたら前に向き生きることを検討してくれるかもしれない。
彼女を死なせるよりは良いのかもしれない…
“コンコン”とノックされ返事をする。
定期的なバイタルの確認かと思ったが、ガラッと勢いよく開いたドアから、お義母さんが小走りで入ってきた。
母「Aっ！
Aっ、あぁっ、こんなっ、こんな姿になってｯｯ」
父「……」
次にお義父さんが入ってきて、肩を震わせて居るお義母さんの肩をさすりながら彼女の様子を見ていた。
彼女は両親の顔を見ることもせず、変わらず窓の外に目を向けていた。
『…この度はこのような…』
母「ーｯ!!!」
僕は頭を下げて謝罪をしようとしたが、お義母さんが手を振り上げるのが見えて無限を解いた。
殴られる覚悟はもちろんある。
…でもこない衝撃に頭を上げると、お義父さんが手を掴んでいた。
父「止めなさい、騒いだらAの体にも響く…それに殴る価値もない」
母「あなた！でもっ、でもっ！
この人のせいでっ、娘はこんなにも傷ついてるんですよ！？
誠悟の事だって、おかしいと思っていたわ！
いきなり養子になんて…私たちもちゃんと気づくべきだったんですよっ！」
『…申し訳ありませんでした…』
父「五条さん、娘とは離婚してもらいたい。
今後、娘はこちらで面倒を見ます」
『…っ
…離婚の件は…受け入れます』
以前のように名前で呼ばれず、姓で呼ばれたことに、もうお前は赤の他人だと遠回しだが言われた気がした。
今は離婚を受け入れるしかない。
彼女が生きてさえくれるなら、やり直す機会はある。
そうするしかない…失うわけにはいかないっ。
自分の蒔いた種だ。
自業自得だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2472人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椎(プロフ) - 五条さんがクズすぎて許せない部分もあったのですが、それでも主人公を愛している気持ちは本当のものだからと思うと、涙が止まらず号泣でした。 (2022年3月1日 22時) (
レス) @page49 id: 4e7f65b0c2 (このIDを非表示/違反報告)
にききまる(プロフ) - これほどまでにクズの五条にあったことない。まじ恨む。来世では地獄みてほしいと願うほど主人公に感情移入しました (2022年2月7日 14時) (レス) id: f079bcdbdb (このIDを非表示/違反報告)
匿名ちゃん - 愛しくて苦しくて、久しぶりに号泣してしまいました。皆幸せになれますように…。2度目の人生読むのが楽しみです。 (2022年1月3日 3時) (レス) @page50 id: 63e70122d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - (続き)凄く可哀想になってきて、毎回全員が幸せになってほしいなって思いながら読んでました。１度目の人生の最後の方やばかったです(涙が)思い出すと切なくて堪らないです、、もっと書きたいことあるのに文章纏まらない…wこの作品を作って下さり本当に感謝です！！ (2021年12月13日 12時) (レス) id: 785d5edaec (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - はじめまして。毎日楽しみにしながら読んでました！この作品大好きです。ここに感想まとめさせて頂きます。夢小説で泣けたのはこの作品が初めてでした。私の推しがｸｽﾞ過ぎるのに超お気に入りの作品です！笑 愛桜、憎いだけの奴だったんですが、読み進めるごとに (2021年12月13日 12時) (レス) id: 785d5edaec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪椿
| 作成日時：2021年9月22日 20時
