僕だけのヒロイン (ページ10)

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『おみちゃん』

１０月も終わりに近付いて、秋も深くなってきた。

今日も部活帰り、Aさんを教室まで迎えに行って一緒に帰ってる。

もう完全に日課です。

…つーかおみちゃんてなんだよ(笑)

『おみちゃん！！』

「はいはいなんですか～」

『無視すんな～』

「いてっ」

二の腕、つねられた…

『日曜日ひま～？ひまだよね？？』

歩道をふらふら歩きながらそんなことを聞いてくるAさん。

いろんなものに興味津々の子供みたいで、たまに道路でてっちゃったりして本当危なっかしい…

「え、部活」

『そんなこと聞いてない！』

は～？今日曜日ひまかって聞きませんでした～？

『部活は午前中でしょ？！そのあとだよ！！』

もう～、ってなぜか若干いらついてるけど、この人は会話もほんと、マイペースで…

それに慣れてきちゃってる俺もいるわけで、もう反論する気力も起きない。

「はいはい、暇ですけど何か？」

『デートしよデート！』

「は？デート？(笑)」

なんのもくろみがあるんすかね…

『うん！』

にっこにこの笑顔で元気に返事するAさん。

え、もしかして本気で俺とデートがしたくて誘ってるとか？

……いや、早まるな広臣。この人に限ってそんなわけはない。

「なんか目的があるんでしょ？なんすか？」

『なに！デートっつってんじゃん！目的はデート！』

「へえ～」

適当に返事をして前をすたすた歩く俺。

『バカおみ！聞けー！』

完全にすねた声でました。

振り返ると、歩く足を止めたAさん。

『プレゼント買いに行きたいの！』

…あー、なるほど。幼なじみサンのね？

「はいはい、了解です。行きますよ」

『わ～い。ありがとうおみ～』

たたっと駆け足で俺のとこまで近づいてくる。

むかつくけど可愛いっす(笑)

『おみ！疲れたあ！鞄持って！』

…前言撤回。やっぱむかつく！

とか思いながらも鞄持ってあげちゃってる俺。

振り回されてる……