僕だけのヒロイン (ページ7)

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『はあ～あ』

でっかいため息をついたAさんは、今度は校門に目を向けた。

そこには、手を繋いで幸せそうに歩く、さっきの二人。

この人、いっつもこの風景を見届けてんの？

Mなの？(笑)

『あの女が来ない日はタイミングはかって一緒に帰ってるの～』

お、おお……

すごいな、この人。

愛がでかいっつーか、もはやストーカー入ってると思うけど…(笑)

『よし、帰ろう』

立ち上がってさっさと教室を出て行く。

自由か……

『おみ？』

「はい？」

振り返って、もはや自然に俺をおみって呼ぶAさん。

『帰んないの～？』

「帰りますよ」

『一緒に帰ろうよ～電車でしょ～？』

「あ、ああ、はい…」

１年の昇降口は二階で２・３年は一階にあるので、さっきAさんと、じゃあまた校門で、と別れた。

『おみぃ～！！』

？！

急いで一階を見下ろすと、そこには大きく手を振るAさん。

「なんすか？」

『鞄おみんとこの教室に忘れちゃったよ！なんで気付かないの～！！』

え、俺のせいなの？(笑)

つーか鞄忘れるとかアホでしょ…！

『おみとってきて～』

「え？！自分でとってきてくださいよ」

『ええ～…』

と言ってうつむくAさん。

ええ～…は俺の台詞だし。

ああもう！！

「わかったよ！とってきます！！」

そう言って引き返す俺。

わ～い、ってAさんの声が聞こえる。

なんなのコレ、、

駆け足で戻ってきて、校門で俺を待つAさんの元へ向かう。

…そういえば、こうやって立ってるAさんを見るのは初めてかも。

長袖のカッターシャツの袖を少しまくって、そこから見える華奢な腕。

綺麗に結ばれた臙脂(えんじ)色のネクタイ。

すらっと長い足に短い紺色のスカート。

隣に立つと、俺より１０センチくらい小さい身長。

…165センチくらいかな？

「はい」

Aさんに鞄を渡す。

『わーい！ありがとうおみ！大好き～～』

「はいはい」

にこにこして鞄を受け取るAさんの笑顔に、もう俺は勝てる気がしなかった。