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数日後。今日はAさんから一緒に帰ろう、と連絡がきた。
今日こそ伝えよう、俺の気持ちを。
そしてAさんの気持ちも聞くんだ。直己先輩のことも。
曖昧にしていたこと全部、はっきりさせる…
部活が終わり、いつものようにAさんを教室に迎えに行く。
『おみっ』
笑顔で俺に駆け寄るAさんが、愛おしくてしょうがない。
こんな気持ちを今まで伝えずにいれたことが不思議なくらい、俺はAさんが好きで。
この間のネガティブな気持ちがなかったように、今の俺は前を向いてる。
電車を降りて、Aさんの家まで手を繋いで歩く。
俺の隣をニコニコしながら歩く彼女を見て、俺も自然に笑みがこぼれる。
Aさんの家に着く直前、意を決して俺は口を開いた。
「ねえ、Aさん？」
『ん〜？』
「あのさ…、」
いざ言葉を発しようとすると、うまく言葉が出ない。
『どうしたの〜？』
「えっと、」
何から言えばいいんだ、、
「直己先輩と、どうなったの？」
どうしようどうしようと頭の中でぐるぐる考えた結果、やっぱり、正直いちばん気になっていた疑問が口から発せられた。
『直己？』
「うん」
『直己とは、今でもただの幼なじみだよ』
「じゃあ、」
もう好きじゃないってこと？
そう聞こうとしたら、Aさんが喋り出して。
『直己のことは、今でも大好き』
「え…」
その言葉に、目の前が真っ暗になった。
そして俺は、無意識のうちにこう言ってた。
「そうなんすね。じゃ、また明日」
Aさんに背を向け、来た道を引き返す。
『おみっ！』
俺の腕を掴んで引き止めるAさん。
Aさんのその手を、俺は反対の手で優しく掴み、腕から離した。
『おみ…？』
「…じゃあね」
そう言って歩き出した俺を、もうAさんは引き止めはしなかった。
…あー、くっそ、情けねえ。
直己先輩のこと好きなんて出会ったときから知ってたことじゃん。
でも俺、やっぱ自惚れて期待してたから。
Aさんがもしかして俺のこと好きになってくれてんのかもって。
だからAさんの口から直己先輩のこと好きなんて聞いたら、やっぱすげーショックで……
告白しようなんて思ってたこと、一瞬で忘れたんだ。
あの日岩ちゃんと教室でいたことも聞こうと思ってたのに。
結局、俺がどんだけAさんと一緒にいたって、直己先輩には勝てねえのかな…
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作者名：山海
| 作成日時：2015年2月14日 21時
