僕だけのヒロイン (ページ5)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:728,477 hit

..5 ページ5

部活中、俺の席にAさんの姿が見えた。

部活が終わり、足早に部室を出て教室に向かう。

伊「あ、広臣！」

「おー」

バレー部の伊吹も、ちょうど部活が終わったところのようで、部室から出てきた。

伊「おつかれー！帰るとこなら一緒に帰ろうよ」

「ごめん、ちょっと忘れ物！先帰って」

伊「あ、そうなんだ…じゃあね～」

伊吹はさっさと俺に背を向けてひらひらと手を振った。

…別に彼女でもねーし、Aさんのとこ行くとか、言わなくていいよな？

伊吹の背中を見ながら、そんなことを思う。

あ、やべ。早くしないとAさん帰っちゃうかも。

教室を覗くと、まだ俺の席に彼女の姿があった。

「Aさん？」

『…おみ～？』

俺が名前を呼ぶと、こっちに視線を向けずにそう言ったAさん。

声だけで、俺って分かったの？

『どうしたの～？』

「グラウンドからAさん見えたんで、きちゃいました」

そう言って前の席に座ると、やっと俺のほうを見た。

『おみ、部活してるの？』

「えー、俺、サッカー部っぽくないすか？」

『…帰宅部っぽい』

ちゃらそうだから～、なんて笑いながら言うAさん。

ちゃらそうだから帰宅部ってなんだよ！(笑)

「そーゆうAさんは帰宅部じゃないんすか？」

『帰宅部～』

「ちゃらいんだ～、モテそうですもんねえ」

『モテるけど、ちゃらくないよ～』

モテるけど、って…否定しないんだ(笑)

でもまあ納得だし、この人が言うなら全然いらっとしない。

『私ねえ、一途だから』

「…彼氏っすか？」

『ううん～……ね、見て、あそこ』

そう言ってAさんが指さしたのは、図書室。