僕だけのヒロイン (ページ36)

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「待たせてすいません」

相変わらずAさんに弱い俺…(笑)

でも今日のAさんは全然不機嫌じゃないし、むしろめっちゃ上機嫌。

いや、いつも不機嫌なふりしてるだけっぽかったけどさ。

靴を履きかえて昇降口を出てAさんが来るのを待っていると、うしろからトンッと軽くぶつかってくる。

『帰ろ？』

そう言って首をかしげるAさんが、めちゃくちゃ可愛いんですけどね、いや、そんなことよりね。

ぶつかってきてそのまま腕に手まわされてるんだけど…！

なにこれ、いいの？めっちゃ緊張する…

「俺、臭くない？」

部活後だし、汗くさくない？と思って、つい聞いてしまう…

すると、俺に顔を近づけてクンクンとにおってくる。

いやいや！ほんっと、心臓持たないから！！(笑)

『臭くないよ？』

と言って、ニコッと笑顔を向けてくるAさん。

はああ、駄目だ、俺、心臓持つかな…

今までだってAさんは距離近めの人だなーって思ってたけど、意識した途端コレだよ。

駅までの道を、腕を組んだまま、なんでもない話をしながら歩く。

部活終わりの生徒たちもたくさん歩いてて、見られてる気がしないでもない…

『そういえば今日、将吉くんに怒られてたでしょ～？』

「え、見てたの？」

『見てたよ～。なんかぼーっとしてなかった？』

ああ、はい、あなたに一緒に帰ろうなんて言われたからですよ。

「Aさんて将吉先輩と仲良いんすか？」

『ん？仲良くはないよ？親友の彼氏だから仲悪くもないけど～』

「え、親友の彼氏？」

『うん、将吉くん、瞳の彼氏じゃん』

「え？！そうなの？！」

『知らなかったの～？(笑)』

し、知らなかった…(笑)将吉先輩も、言ってくれればいいのに！

通りで、モテるのに浮ついてないわけだ。あんな可愛い彼女がいたらね…

『お似合いだよね～』

「そうですね」

そんな新発見な話もしつつ、電車に乗る。

帰宅ラッシュで満員。Aさんとの距離が近い…

これもいつものことだったのに、今は意識しちゃって嫌な汗かく。