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「臣先輩！」
「え？」
振り向くと、キャー、と言って走って去っていく一年生らしき女の子たち。
始業式から約一ヶ月。校内を歩いていると、こういうことが最近よくある…
稀にちゃんと何か話してくれる女の子もいるが、ほとんどは呼んでくるだけで逃げていく。
モテ期がきたのは悪い気しないけど、正直、疲れますよ、ええ。
隆二だって影でモテてるのに、この強面のせいか、俺みたいなことはされてない…
隆「臣、疲れちゃってんじゃん、げっそりしてるよ(笑)」
なんてケラケラ笑ってるし。
健「最初羨ましいとか思っとったけど、臣の様子見とると……(笑)」
心配してるようなフリして、笑いをこらえきれてない健ちゃん…
教室に入り、またも窓際になった自分の席に座る。
健「無視するってことを覚え」
「いや、普通に反応しちゃうじゃん、名前呼ばれたら」
隆「まあね」
『お〜み〜！』
俺を呼ぶ声にパッと反応して、グラウンドを見下ろす。
自然と顔がほころぶ。
「Aさん！」
ジャージ姿でグラウンドに立つAさん。うん、可愛い。
俺に大きく手を振る姿が愛しくて、そばに駆け寄っていきたくなる。
健「ほんまあの人かわええなあ」
「うん…」
俺とAさんの関係は相変わらずで、会えば話して、でも前みたいに一緒に帰ることはなくなった。
元々あの人は帰宅部で、直己先輩の存在がなくなった今、部活をして帰る俺とは下校時間も違うし。
攻めるって決めたのに、何からすればいいかわかんなくなってる。だっせー…
「俺、どうしたらいいんだろ…」
健「手っ取り早くデートにでも誘いなさい」
「え」
隆「前二人で出かけてたこともあんじゃん」
ああ、直己先輩へのプレゼント探しに行って、本人に会っちゃって……って思い出ね(苦笑)
健「そうと決まればはよ誘いなさい」
そうと決まれば、って、俺何も言ってないけど…(笑)
と思いながらもスマホを取り出す。
………って、
「俺、Aさんの連絡先知らねえ」
隆「は？！」
健「お前、そっからか！！！」
なんで俺今まで気付かなかったんだろ、馬鹿か…
健「隆二に負けへん天然っぷりやな」
隆「え」
「(笑)」
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作者名：山海
| 作成日時：2015年2月14日 21時
