僕だけのヒロイン (ページ31)

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俺の隣の二人の存在に気付いてハッとするAさん。

『あ、えっと、隆二くん』

隆「あ、はい(笑)」

『えーっと……何チャン？』

伊吹を見て首をかしげる。

伊「伊吹です！広臣とは幼なじみで」

『幼なじみかあ～…いいねえ』

と言って物憂げな表情を浮かべる。

…直己先輩のことでも考えているのだろうか。

瞳「A！私行くからね」

『あっ待ってよ～！じゃあまたね』

瞳先輩に呼ばれ、足早に俺らの前から去っていくAさん。

伊「ほんっと可愛いね、A先輩」

そんなことを言って腕を組み、うんうんと頷く伊吹。

なんか、昨日の今日で、俺のことはもう全然好きじゃありません！って態度が……

いや、それで俺もありがたいんだけどさ(笑)

伊「超倍率高いっしょ～？頑張りなよ！」

と言って俺の背中を叩く。

「うっせ、言われなくても頑張るわ！」

隆「ふぁいと～」

なんつー適当な応援だよ(笑)

俺たちも教室へ向かい、すぐに始業式へ。

体育館にはぱりぱりの新しい制服を着た新入生がすでに揃っていて、高校生活に胸を膨らませている、そんな様子が伺えた。

そして、今日も俺はすぐに彼女を見つける。

ゆらゆらと立つAさんの姿を。

たくさんの生徒の中でAさんのことを見つけてしまうのは、あの人が目立つからとか、俺がキョロキョロしてるからとか、そんな理由じゃなかったんだ。

無意識のうちに、俺が探してたんだ、あの人を。