僕だけのヒロイン (ページ4)

今日:22 hit、昨日:0 hit、合計:728,487 hit

..4 ページ4

次の日、部活中にグラウンドから教室に目をやると、またAさんは俺の席に座っていた。

また次の日も、その次の日も。

俺が知らなかっただけで、彼女は前から来ていたんだろう。

”私の特等席”

そんなことを言っていたっけ。

グラウンドからはAさんの視線も表情も読めない。

どこを見てるんだろう…

この間はその理由を聞きそびれたから、また今度聞いてみよう。

「……ってことがあったんだよ」

後ろの席の今市隆二。

高校に入学して、なんとなく気が合うな～ってすぐに仲良くなった。

強面だけど笑顔は人懐っこい感じで、なにげにモテる。

Aさんの話をするも、隆二はへえ～って適当に相槌を打ちながら早弁してる…

早弁なんかすんの、いまどきお前くらいだよ(笑)

隆「つーかさ」

「ん？」

隆「お前、A先輩のこと今まで知らなかったの？」

うまそうに玉子焼きを頬張りながらそんなことを言う隆二。

俺のほうなんかまったく見ない。弁当に夢中(笑)

「え、隆二知ってた？知り合い？」

隆「違うけど。その人めっちゃ有名っしょ(笑)美人だから」

へ、へ～…そうなんだ。

つーか、なんだよ、隆二。興味ないふりしやがって、知ってんじゃん。

隆「おみか～、いいねそれ。俺も臣って呼ぶ」

「勝手にして…」

隆「なに、惚れちゃったの？伊吹がいながら？」

弁当箱をしまいながらやっと俺に顔を向けた。

「いやそーゆうんじゃないから(笑)だいたい伊吹とは付き合ってねえし」

隆「まあそうだけど？」

含みのある言い方をして、あ、授業始まるわーって机に顔を伏せた。

おい、寝るなよ(笑)

…惚れたとかじゃない。

ただ、あんなふうに目の前に美人が現れたらなんとなく気になっちゃうだろ。

もしかしたら俺のこと好きな子？とか自惚れて、俺超ださかったし(笑)

…もし今日もまたAさんがここにいたら、部活のあと戻って来よう。

そんで、特等席の理由、聞くんだ。