僕だけのヒロイン (ページ26)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:728,472 hit

..26 ページ26

「…直己先輩、」

直「ん？」

「Aさんは、俺のことどう思ってるんすかね…」

だっせえ、俺、こんなこと聞いて。

直「さあ…俺には分からないな(笑)ただ、俺のことは間違いなく恋愛としての好きではなくて、俺と君は違うってことだけは分かるよ」

俺と直己先輩は、違う……

直「…じゃあ、引き止めてごめんな。またいつか、ね」

昇降口から出てきた彼女さんを見て、俺にそう言った。

「あ、はい、また……ありがとうございました」

そう言った俺に直己先輩は笑顔を向けて、彼女さんの手を自然にとり、校門を抜けていった。

その大きな背中を見つめて、尊敬の念を送る。

最初、心ん中で悪態ついて、俺、アホだったな(笑)

直己先輩はAさんに好かれることを欠片も鼻にかけてなどいないし、むしろそのポジションを捨てたってただAさんに純粋に幸せになってほしいと思ってるんだ。

そして、たったひとりの女性を愛する立派な男性だ。

…たった二歳しか違わないのに、ものすげえ大人で、自分を誤魔化してばかりの俺とは大違い。

そんな直己先輩だから、Aさんも好きって思ったんだろうな。

それが直己先輩の言う通り勘違いだとしても、Aさんにとっては確かにある気持ちなんだ。

……よし。

俺も、覚悟決めて、直己先輩を超えられる男になろう。