僕だけのヒロイン (ページ25)

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直「そんなAに、一人だけ、真向に告白してきたやつがいてね」

「え…」

直「そのときのあいつめちゃくちゃ嬉しそうに俺に報告してきたよ。今思うと、その嬉しいって気持ちだけで付き合って、うまくいくわけなかったんだ。Aは自分も相手のことが好きだと勘違いして……終わるのは早かったよ、相手もそのことにすぐ気付いて、それなのにAの我儘にはついていけないって。それからだよ、あいつが俺のこと好きだなんて言いだしたのは」

「Aさんは、小さい頃から直己先輩のこと好きだって言ってましたけど…」

直「うん。突然ね、Aが言ったんだよ、”私、直己のことずっと好きだった！やっと気付いた！”なんて言って(笑)」

な、なんだそれ…Aさんの思考回路、わけわかんねえ(笑)

直「もちろん俺はすぐに、ああまた勘違いしてるんだなって気付いたよ(笑)……俺が小さい頃からあいつのこと可愛がってたことで、きっと俺からなら本当に愛してもらえるって思ったんだろうね」

うーん…Aさんを幼い頃から知る直己先輩だから分かるんだろうけど、やっぱ俺にはよく分かんねえよ。

直「でもやっぱり俺はあいつを好きにはなれないし……他に好きな子もできたし…今の彼女なんだけど」

そう言って校舎の中に目をやる直己先輩。

その視線の先をたどると、先輩の彼女さんが窓から笑って手を振ってた。

彼女さんを見る先輩の目は、本当に愛おしそうで……好きなんだな、と思った。

直「Aはね、俺に彼女ができたら、もっと好き、なんて言ってきたよ(笑)きっと意地になってるんだね。…ま、極度のブラコンみたいなもん」

な、なるほど…

なんか、ちょっと、ちょっとだけ、分かった気がする。Aさんのこと。

でも…

「なんで俺に、そんなこと話してくれたんですか？」

直「そりゃもちろん、Aが君に心を開いてるからだよ」

「へ？」

直「ずっとあいつといるから、あいつの変化にはすぐ気付くよ(笑)Aが俺以外の男に自分からくっついてくのは君だけだよ。あんな笑顔は、俺にだって向けない。ちょっと嫉妬するくらい(笑)」

俺もまあまあシスコンだわ～って笑う直己先輩。