僕だけのヒロイン (ページ3)

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「お疲れ様でした！」

部活が終わり、帰る準備をして挨拶をしながら部室を出る俺。

あー、教室に定期忘れたくさい、最悪。

めんどくせえけど取りに行かないと帰れね～、なんて思いながら教室に向かう。

……ん？

ここ１年２組だよな？俺のクラスここだよな？

確認するも、やっぱここであってる。

俺の席、窓側後ろから２列目に、女の子が座ってる。

…もしかして、俺のこと好きな子とか？？

好きな人の席に座ってなんちゃら～(適当)みたいな、よくある青春っぽいやつ？！

とかアホなこと考える。

あーでも早く帰りてえし、話しかけないと……

気まずいわ～と思いながら教室に足を踏み入れる。

「あのー…」

声をかけると、頬杖をついたままゆっくりこちらに視線を向けたその子。

…うわ、めっちゃ美人なんですけど…！

こんな子が俺のこと好きなの？そりゃやべーわ(妄想)

『だーれ？』

しかも声まで可愛いし。

…って、そうじゃない。第一声それ？俺の台詞でしょ(笑)

「そこ、俺の席」

『…え？あ、そうなんだ！』

へー！なんて言ってどく気配もない彼女。

いやもっと謝るとかないんすかね。別に悪くはないんだけど。

『あのね、ここ私の特等席！』

「は？(笑)」

あなたの特等席じゃなくて、俺の席！(笑)

『私、AA！２年５組！よろしくね？』

そう言ってニコッと涼しげな笑顔を見せる、……Aちゃん。

いや、ちゃん、じゃねえな、２年なんだ。先輩か。

艶々の黒髪、ワンレンのストレートロング。

ほぼノーメイクっぽいけど、ぱっちりとした二重に筋の通った鼻、そして薄い唇。

顎もシュッとして、耳の形まで綺麗な、パーフェクトな美人。

…こんな美人が、この学校にいたんだ。

『君は？』

「え？」

ぼーっと彼女を見つめている俺に、不思議そうな表情で問う。

『名前！』

「あ、登坂広臣っす」

『…ん～……おみ！』

俺を指さしてそう言う彼女。

「え？」

『おみって呼ぶねっ！』

「お、おみ？」

『うん！私はAでいいよ！』

「A…さん」

『はあーい』

これがAさんと俺の、ちょっと不思議な出会いだった。