僕だけのヒロイン (ページ16)

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「そんなわけで、年越しは伊吹んちな！」

いつものように、二人で昼飯。

隆「…や、俺はいいけどさ」

「なんだよ」

…隆二の言いたいことは分かる。

「伊吹が、お前もって言ったんだよ。それに、さすがに二人で年越しとか、意味わかんねえし」

隆「んー…まあ、行くけど」

「伊吹の母ちゃんの飯、めっちゃうまいから。作ってくれるよう頼んどく」

隆「行くっ！」

「(笑)」

ほんっと、こいつは食べ物のこととなると…(笑)

『おーみ～！……』

…ん？

隆「え、なに今の」

「空耳だな、うん」

『おみ～！！！』

………どっからだ？

隆「え、なに？これA先輩だよな？(笑)」

隆二がそう言ったので、廊下や窓の外をきょろきょろと見渡すが、声の主が見当たらない。

『おみー！！！！！』

う、うるせえ！！

『上見ろ～！』

上？！

窓の外に顔を出して、上を見上げると。

「…なんすか」

屋上から身を乗り出して、笑顔でこちらに大きく手を振るAさん。

太陽が眩しいのか、Aさんの笑顔が眩しいのか、目がくらむ(眩しいのは太陽です)

『なんでもないんだけど～、この下おみの教室だな～と思って叫んでみた！』

…なんだそれ。

隣の教室の生徒も顔だしちゃってるし、騒がしいっすよ。

「そんな乗り出したら危ないですよ」

『隣は、なにクン？』

隆「隆二っす！」

『隆二くん！』

隆「うっす！」

隆二のやつ、デレデレして。

あの女子に人気の笑顔でAさんを見てる。

「…あ」

そんな隆二を見てたら、屋上に見えるAさんの姿はなくなっていた。

隆「やっぱ可愛いなあ」

名前呼んでもらえた！ラッキー！なんて喜んでる隆二。

隆「あの笑顔しょっちゅう向けられて、よく好きにならずにいられるな～」

「…まあな……」