僕だけのヒロイン (ページ15)

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それから、俺とAさんのよく分からない関係は変わらず続いて、気付けばもうすぐ冬休みに入ろうとしていた。

直己先輩の誕生日も過ぎて、どうしたのかってAさんに聞くと、結局なにもできなくておめでとうだけ言った、って。

それで良かったの？と聞くと、よく分かんない、って言う。なんだよそれ。

好きなんじゃないの？後悔しちゃうよ。

そんな俺も、正直自分の気持ちが分からなくて…。

振り回されてもいいように遣われても、Aさんの笑顔に癒やされてる自分がいることは気付いていた。

でもその気持ちが好きってことなのか、と聞かれたらよく分かんねー…

伊「広臣、冬休みどっか行こうよ」

「ん？あー……」

伊吹との関係も相変わらずだった。

毎朝一緒に登校して、廊下で会えば話して。

たまに俺と隆二が話してる教室に来て、三人で話したり飯食ったりすることもある。

そして今日も学校までの道のりを共にする。

伊吹って、冬でも毎日ポニーテールだな～…寒くねえのかな。

…どっか行こう、なんて言われるのは初めてだった。

小さい頃から一緒だから、遊んだことはたくさんあるけど…
こんなふうに改まって約束することなんかはなかった。

…二人って、どうなんだろう、別に気にすることなんてないのか？

でも、伊吹はきっと俺のこと好きだろうし…なんてことを一瞬考えると。

伊「隆二と三人でさ」

俺が考えてることが分かるのか？

それとも最初からそのつもりだったのか、伊吹はそう言った。

「おう、そうだな～どこ行く？」

伊「…あのね！年越し！」

歩きながら真っ直ぐ前を見てそう言った。

伊「しない？」

今度は俺のほうを見て。

「年越し？」

伊「うん、うちで。お母さんもたまには広臣に会いたいって言ってるよ～」

「年越しなんかに行って迷惑じゃない？(笑)」

伊「迷惑なわけないじゃん(笑)」

「じゃあ、お邪魔しよっかな。隆二にも言っとく」

伊「うん！」

嬉しそうに笑顔を浮かべる伊吹。

この笑顔は、自然に隣にあるもんなんだよなあ…