僕だけのヒロイン (ページ13)

今日:23 hit、昨日:0 hit、合計:728,488 hit

..13 ページ13

…あ、この人。

『直己…』

Aさんに声をかけたその人を見上げ、驚いたように目を見開いた。

直己さんっていうんだ。初めて知った。

そういえば、名前とか聞いたことなかったな。

つーか、でけえ！

今まで遠目からしか見たことなかったけど、こんなでかい人だったんだ。

なんて俺は呑気に思っていた。

Aさんが好きだと言っていた、幼なじみサンのことを。

『…あ、デートだあ～。こんにちは！』

Aさんは必死で笑顔を作っている。

直己さんの右手には彼女の左手が繋がれていて。

その人にAさんはちゃんと挨拶をしている。まともな一面もあるんだ、なんて(笑)

直己さんの彼女さんも、丁寧に挨拶を返してる。

Aさんとは、正反対な感じだな～…(笑)

直「Aもデート？最近よく一緒にいるみたいだね」

身長はでかいし、切れ長の目に一瞬びびってた俺だけど、穏やかで優しそうな笑顔を、Aさんと…俺にも向ける直己さん。

直己さんにも、俺のこと知られてたんだ…

「いやいや、俺は弟みたいなもんすから」

そう言って、登坂広臣です、と自己紹介すると、小林直己です、と返してくれた。

直「あ、俺たち今からカフェでも行こうかって話してたんだけど、良かったら一緒にどう？」

「あ～…」

好きな人の彼女と４人で、なんて嫌に決まってるよな～、と思いAさんを見ると。

…うん、そうだよな、嫌そう嫌そう(笑)

むすっとしてます！(笑)

「すいません直己先輩、俺ら今から行くとこあるんで！」

ね？とAさんに振る。

『あ、うん…そうそう』

直「そっか。じゃあまた、学校でな」

「はい、また」

Aさんの手を引いて、足早にその場を離れる。

振り返って、うつむくAさんの顔を覗くとやっぱ涙目。

「大丈夫？Aさん、」

『う～…………ありがと、おみ』

「ん？」

『断ってくれて』

ああ、うん、それね。

あそこで行きましょう行きましょうなんて言ってたら、俺鬼じゃん！(笑)