Scar

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翌日、17時、受付業務終了。


「あの、すいません」


『あ、ごめんなさい、今日はもう終わり…』


片付けをしながら、急いで来た様子の患者さんに返事をしつつ、顔を上げた。


息が、詰まった。


「診察じゃなくて」


私の目の前に立つその人は、今日もマスクとサングラスをしてたけど、間違いない。


岩田剛典さんだ。


『え、な、なんですか？』


また、声が震えてしまった。


「これ」


彼はサングラスをはずしてから、私の前に小さな紙だけを残し、あの日と同じように会釈をして足早に病院をあとにした。





「A！今のって…」


何が起こったのか分からなかった。


「A？」


『あ、瑠衣…』


「何、今の！」


『私にも、分かんない…』


彼が置いていった、二つ折りにされた紙をひらくと、電話番号と「良かったら連絡ください。岩田剛典」とだけ書かれていた。

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