Scar

..1 ページ2

「ねえ、A〜」


平日の正午。
午前の診察が終わって休憩に入り、同僚の瑠衣と昼ごはんを食べていた。


「週末、合コン行かない？」


『…ごめん、パス』


「えーなんで？何度も誘ってるのに一度も来てくれないじゃん」


『うーん、私そういう場苦手だから、ごめんね』





瑠衣からの合コンの誘いを、私はいつも通り適当言って断る。


彼女は、「もう、付き合い悪いなあ」と言いつつも、「しょうがないか」と無理強いはしなかった。
私は瑠衣のそういうところが好き。


上京して５年。


男関係はめっきり付き合いの悪い私だから、正直女友達さえもすごく少ないけど、瑠衣はそんな私でも仲良くしてくれている貴重な友人だ。





「どうしてA、彼氏作らないの？」


『作らないわけじゃなくて、できないだけだよ』


と苦笑いする私に、「ふーん…」と何か言いたげにしつつも、追求はしてこなかった。



私は少し心を痛めつつも、それ以上は話さなかった。


いや、話せなかった…。

..2→←..0

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す