月よ星よと Ⅱ (ページ46)

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JN｢あれ、手握る必要あると思う？」

DN｢ない、とは思うけど…」

JN｢…ないよね？」

DN｢うーん、まぁ…」

日頃から何とも言えない立場にいるからかAのスルースキルは尋常じゃないほど高いし、何よりAにはミンギュヒョンからの「人からの連絡先は受け取っちゃダメ」っていう言葉がついている。

だから、こういう場面に逢ったときは、自分が下手に足を突っ込む方が後々面倒になるんじゃないかと思ってしまうのだ。

AにはAのやり方があるし、それにAは色々と事を荒立てることを嫌うからどうしても。

ただ、それは自分なりの見解であって、ジュニヒョンは違ったらしい。

　

DN｢あ、え、ヒョン。どこ行くんですか」

響いた足音は、スタッフさんたちが駆け回っているどれか１つだと思ったのに、予想はすっかり外れて、その正体はジュニヒョンのものだった。

思わず、というか反射的に声を掛けたはいいものの今のジュニヒョンには全く聞こえていない。

真っ直ぐAのところへ歩き出して、静かにその後ろに立つと最後に革靴の足音を１つ大きめに響かせる。

そこでほんの少しだけ、目の前にいた男の人の肩が強張るのが分かった。

ここからだとヒョンの顔が見えないからはっきりとしたことは分からないけど、あの綺麗な顔で見下ろされれば、圧迫感はかなりあると思う。

美人の真顔は怖いって言葉があるくらいだし、ジュニヒョンはそんな言葉に当てはまるような綺麗な人だから。

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