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そうやって今日ここへ来て初めてしっかりと合わせられた目は、“そこに
Aにとっての家族は、自分たちが理解するには難しくて曖昧で、すぐ崩れてしまいそうなものなのに、Aはそれをいとも簡単なもののように扱ってみせている。
それなのに脆さは見えないのだから、きっと、Aは何度も何度もこのことについて考えていたんだろう。
そこに誰かの助けがあったのかどうかは分からないけど、この目が真っ直ぐ自分を見てくれるんだから、そんな人がいなのならこれ以上ない感謝を伝えなくちゃならないなとも思う。
A、ともう随分と呼び慣れた名前を紡げば、その瞼が降りて上がる。それでも目は逸らされなかった。
WZ｢お前は、うちの大事な妹だよ」
｢……」
WZ｢…なんだよ。その目は」
｢いや、スニョニヒョンが“ジフニはAを娘だって思ってる”って言ってたから？」
WZ｢……」
｢あとスンチョリヒョンも」
WZ｢………あいつらまた余計なことを」
スニョンがスンチョリヒョンと一緒になってそう言っていることは知っていた。けど、だ。わざわざAに言わなくてもいいだろうに。
あぁ、と深い溜め息を吐いて頭を抱えれば、Aのつま先がまたゆらゆらと揺れ始めた。
レースのカーテンの隙間から入って来た日の光が部屋の中を明るくしていく。
そんな明るさに釣られるように顔を上げたAが「ヒョンが３人目のお父さんでもいいかもね」と本気なのか冗談なのかも分からないことを言うから「それだけはやめてほしい」と間髪入れずに返事をした。
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作者名：柊
| 作成日時：2023年3月29日 18時
