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｢ジフニヒョン」
WZ｢…なんだ」
｢これ多分ヒョンに言ってなかったと思うんですけど」
WZ｢まだなにか…」
｢私、自分の両親とは血が繋がってないんです」
自分の言葉を遮るようにさらりとAが口にしたそれは、びっくりするほど場の空気にも雰囲気にも、話の流れにも、Aの声の調子にさえも合っていなかった。
Aがどこか同世代よりも冷めているとかいないとか。
もうそういう領域の話でもない。
WZ｢……は？」
｢養子というか、引き取ってもらったというか」
WZ｢養子…って」
｢いや、ヒョンがそんな顔するほど重い話でもないんですけど」
｢実の両親も今の両親も４人全員がちゃんと自分の家族だって自覚はあるから」と。
そんな風にAは言うけど、別に自分が“は？”と思ったのはそこじゃない。
確かにAは元々、あまり自分のことを自分の口から言わない性格ではあった。
そりゃ話したくないことは話さなくたっていいけど、こうやって話題にしたってことはAの中で特段そういうわけでもなかったんだろう。
どこから突っ込めばいいんだ。
というか突っ込んでいいのかどうか。
ぐるぐると必死になって考えを巡らせていれば、「だからね。ヒョン」とAがまた口にする。
その“だから”は一体どこから来たもので、そこに何が続くのか。まあ、そんな風に考えたところで、自分に分かるはずがないんだから諦める方が早い。
続くAの声を待つ方が余程分かりやすい答えが返って来そうだ。
｢私にとって家族は最初から血の繋がりでできたものじゃないから
私がそう思っててもヒョンたちが家族じゃないって言うなら家族じゃないし、家族だって言ってくれるなら私の中では本当に家族なんだよ」
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作者名：柊
| 作成日時：2023年3月29日 18時
