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Aは、よくピアノを弾く。
元々中国にいたときは弾いていたみたいだけど、韓国に来たときに弾かなくなって、そのままになってしまったところをボムジュヒョンが見つけたのだ。
ある日、ヒョンが音をいじっているときに「A。もしかして楽器やってた？」って。
ヒョン曰く、「耳が良いとは思ってたんだよ」ということ。
Aは、別にすごく弾きたいってわけじゃないからと言ったけど、後々、Aが考えをまとめたいときとか、落ち着かないときとか。
そういうときにも練習室や作業室にあるピアノに触れていることに気がついた。
例えば、今みたいに。
感情の揺れをあまり表に出さないAだけど、その分、分わかりやすい表現方法だと思う。
｢それに言い争ったわけじゃないから喧嘩ではないと思う」
WZ｢なんだよそれ」
｢争ってないなら喧嘩とは呼ばないでしょ」
WZ｢じゃあそれは争ってないけど、何か言われたってことだろ」
そう言い返せば、少しの沈黙。
何か言うつもりはあるんだろうかと横目でAを見てみれば、むっと口が結ばれていて、少しだけ左の口角に偏っている。
それがある瞬間にふっと下へ降りると「ジフニヒョン」と自分の名前が呼ばれた。
WZ｢なに？」
｢家族になる条件って何だと思いますか？」
WZ｢……なんだって？」
｢家族になる条件」
それで今度は何を言うのかと思えば、家族になる条件なんてワケの分からないことを言い始めた。
条件も何も、家族なんて生まれた瞬間から決まっているようなものなに。
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作者名：柊
| 作成日時：2023年3月29日 18時
