花を咲かせて Ⅷ (ページ10)

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電話の相手と急遽会うとこになったとか何とか。

祖母が名残惜しそうに家を出て少し。

自分がリビングを離れた隙に、いつの間にか姿が見えなくなっていたAの居場所をリビングでテレビを眺める弟に尋ねてみれば、予想外の答えが返ってきた。

WN｢あれAは？」

・｢あーちょっと散歩してくるって」

WN｢え？」

・｢一緒に行ったんじゃなかったの？」

WN｢…知らないんだけど」

姿が見えなくなっていた理由はまさかの散歩だった。

この今日初めて訪れたよく分からないはず土地で、知り合いもいないはずのこの土地で１人で外へ出たと。

そんなまさかと思って玄関に行ってみれば、確かに靴がない。家に着いたときハンガーに掛けていた上着も。

WN｢…いや、まじで？」

・｢まじだよ」

WN｢……」

・｢ヒョン」

WN｢…なに」

・｢追い掛けるなら早い方がいいんじゃない？」

いや、分かってるけど。

リビングから顔だけを覗かせている弟に「ほら、早く早く」と急かされる。その声を背に自分の分の上着を持って靴を履いた。

散歩に行こうとするAをいいタイミングで見つけては、それに付き添うシュアヒョンの有り難みを改めて知ってしまった気がする。

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