・ ページ49
．
さっきもサイン会が始まる前に
MG『Aーウォヌヒョンのぬいぐるみ返してー』
『嫌だよ』
MG『それ俺のだよ』
『じゃあ、はい』
MG『なんでメガネだけ返すの……』
『それもウォヌだよ』
そんな言い争い(？)をしていて、会場にはきゃーと黄色い悲鳴。遠くて近い距離を保つ２人を見て、まぁ、自分も嬉しくなってしまったんだけど。
cr｢だから本当はどう思ってるのかなって。Aにとってミンギュはどんな人？」
｢ミンギュはミンギュですよ」
cr｢それは私でも分かるかな」
簡単には答えてくれないだろうなと思っていたけど、受け流すのがうまい子なんだろうなと思っていたけど、さらりと消えそうになる話題をどうにか繋ぎ止める。
｢じゃあ、自分はどう見えてますか？」
cr｢私から見てってこと？」
｢そうです。カラットから見て青砥Aはどう見えますか？」
cr｢うーん…私から見たAは……すごく綺麗な子かなぁ」
そう言えば、Aが微笑む。
「じゃあ、そういうことです」って琥珀色の目を細めるんだからやっぱり綺麗。
cr｢そういうことって？」
｢こんなことをカラットに伝えていいのか分からないけど、芸能界って複雑なことが多い世界じゃないですか」
cr｢うーん、そうだね笑」
本当にそれ言っていいのかな、なんて思いながら、普段より何倍も柔らかい口調のAの声を耳に仕舞い込む。
｢それでも自分が折れずに、曲がらずに、純粋な１人の人間として変わらずに。自分が自分のままでいられる理由はそこにあるんじゃないかなと思ったりするんです」
cr｢Aも曲がりそうになることがあるってこと？」
｢もしかしたら」
cr｢意外……」
｢本当に難しいことだけど、それが意外と簡単にできるのは、…そうだな」
cr｢え？」
｢ミンギュがいるから。だから、自分にとってのミンギュは、きっとそういう人」
「どうかミンギュには言わないでくださいね」とAがふんわり目を伏せて、ほんの少しだけど、ゆっくりその口角をあげる。
こんなところで“ミンギュが好き？”だなんて聞くのは、何だか野暮な気がして、「分かった」と頷いてから差し出された小指に自分の小指を絡ませた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊
| 作成日時：2023年1月29日 9時
