花を咲かせて Ⅷ (ページ28)

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ふと視線をずらして部屋を見回してみる。

そうすれば、すぐに賞状とか明らかに小さな子が描いたであろう絵とか色んなものが視界に入ってきた。

ただ、その中で一際目を引いたのは、すぐ横に飾られた写真だった。

一面に咲く桃色の花と優しい笑顔をしたおじいちゃん。そして、その腕の中には満面の笑みをした小さな子。

＿＿＿ああ、これAだ。

Aのお姉さんにも似ているけど、確実にそうだと思った。理由を聞かれるとよく分からないけど、笑い方に今と同じ面影がある。

・｢それ誰だか分かる？」

SC｢Aですよね？」

・｢お。正解」

・｢おじいちゃんと行くのが好きだったからもう暫く行ってないけど…まあ、嫌なのかな」

SC｢…嫌？」

・｢もういないんだーって思っちゃうから。それを変に実感するのが怖いのかも」

ああ、もしかしたら。

予想というよりは、ほぼ確信に近かったと思う。あまりにさらりと告げられてしまった“怖い”の意味がAの言ったそれなんだろうと。

Aは詳しいことを自分に言わなかったけど、さすが血縁者というか…遥かに長い時間を一緒に過ごしているヌナだと思う。

自分が悩んだ時間さえも無駄だと思ってしまうくらいあっという間に、その答えが目の前に現れてしまったような、そんな気がした。

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