・ ページ42
．
パフォーマンス中、Aと何度か目が合った。
何も知らないカラットたちにこの状態を見せるわけには行かないから取り敢えず微笑んでみたけど、
そうすれば、Aも同じような表情をするからメンバーたちの方が驚いていたと思う。
見えてたからな。ミンギュ、ドギョム。それにウォヌも。
アンコールに向けて段々と重くなっていく身体に鞭を打てば、またAが自分を見ていることに気がついた。
“なに”と唇だけを動かせば、今度は何も言わずに顔を逸らしてしまう。無視、ってそんなことあるか。
ああ、もう…って、そう思えば思うほど、さっきから薄ら感じていた原因の分からない眩暈と吐き気が鮮明になる。
どうせ、精神的不安とかそんなやつだろうけど。
あと少しだから、きっとどうにかなる。きっと、大丈夫。
そう思って無理やり背筋を伸ばせば、後ろから誰かに背中を支えられた。
びっくりして振り返れば、すぐそこにAの顔がある。
｢…水飲んだ？」
JH｢…のんでない」
｢じゃあ、飲んだ方がいいよ。酸素足りないなら舞台袖に用意してもらってあるから一瞬はけてもいい」
マイクを手で覆って、その声が周りに聞こえないようにしてAがそう言った。
手渡されたペットボトルを受け取って「酸素はいらない」と首を振れば、「分かった」とAが頷く。
それから肩を２回、とんとんと叩かれて、またAの方を向く。
「ねぇ、ハニ」とAが自分の耳元に顔を近づけた。
JH｢……なに？」
｢会わせようと思ったなら、最後まで責任とってよ。ハニ」
“ほら”と差し出された手を取れば、Aの手の温度が冷え切った自分の手のひらに伝わってくる。
さっきまであんなに気持ちが悪かったのに、たったこれだけのことで落ち着くんだから不思議だ。
やっぱりAはそういう変な力を持っている。
JH｢……じゃあ、仲直り？」
｢これ喧嘩だった？」
JH｢分かんない」
｢自分も分かんない」
…まあ、もう何でもいっか。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1491人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちか(プロフ) - いつも楽しくお話し読ませていただいてます！花が咲くならのパスワード教えていただきたいです！よろしくお願いします😌 (12月27日 23時) (
レス) id: 1d3aead61f (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» いつの間にか言われるようになり、言われていると知ってからも尚そう接し続けている櫻木さんです笑 (12月23日 22時) (レス) id: d26c452a39 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - へーーー！！！カラットに“スングァンたちはレイの彼女みたい”って言われてたこと知ってたんだーー！！！！へーーー！！！！！！！( ͡° ͜ʖ ͡°) (12月22日 15時) (レス) @page33 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊
| 作成日時：2023年12月9日 9時
