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どこか聞き覚えのあるその曲を鼻歌でなぞる。
また珍しい選曲だなと思って、ちらっとAの方に視線を向けると、同じように口ずさんでいるのが見えた。
２年近くアメリカで暮らしていたAのことだからきっとこの歌詞の意味も分かった上で聴いているんだろう。
その証拠に、｢こんなこととてもじゃないけど日本語とか韓国語じゃ言えないよね」って。
自分の目線に気がついたAがそう言った。
こんなこと＿＿というのは、さっきの歌詞のこと。
“とてもじゃないけど言えない”っていうのはよく分からなくて「どうして？」と首を傾げれば、｢長いこと使ってる言語は感情がこもりすぎるから」とAが言う。
VN｢……感情が？」
｢そう。だから直球で歌詞にするには気恥ずかしさみたいなものがあるんだよ」
VN｢そういうもの？」
｢ボノニは違うかもしれないし、ウジがどう考えてるかも分からないけど自分は」
｢2年ちょっとしか使わなかった英語の方が本心をそのまま言える気がする」
そう言ってAが裏返しの靴下を表に直した。
Aの言うことが何だか難しいと思う反面、言われてみれば確かにとも思う。
だって、(これが正しい解釈かは分からないけど、)韓国語で사랑해と伝えるよりも英語でI love youと囁くよりも、日本語で愛していると口にする方がよっぽど楽だから。
伝えたい意味は変わらないのに、なぜか簡単に言えてしまう。
それってきっと、自分の中にきちんと意味や感覚を落とし込んでいない言語が自分にとってただの音でしかないからだ。
良くも、悪くも。
もう一度Aを見れば、表になった靴下を片手にカゴの底を探している。
どうしたのかと思えば、｢そっちのカゴに赤い靴下入ってない？」なんて言うから“ああ、もう片方が見つからないんだな”と悟った。
VN｢入ってないよ」
｢じゃあ、青と白の靴下は？」
VN｢……ない」
いつになるかは分からない。
けど、今は韓国語と日本語の曲ばかりを書いているAにも、いつか英語で、それを作る日が来るんだろうか。
もしそんな日が来るとしたら、そしたら、それはきっと。
｢……なんで靴下って片方だけなくなるんだろうね」
VN｢それはオレも聞きたい」
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ちか(プロフ) - いつも楽しくお話し読ませていただいてます！花が咲くならのパスワード教えていただきたいです！よろしくお願いします😌 (12月27日 23時) (
レス) id: 1d3aead61f (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» いつの間にか言われるようになり、言われていると知ってからも尚そう接し続けている櫻木さんです笑 (12月23日 22時) (レス) id: d26c452a39 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - へーーー！！！カラットに“スングァンたちはレイの彼女みたい”って言われてたこと知ってたんだーー！！！！へーーー！！！！！！！( ͡° ͜ʖ ͡°) (12月22日 15時) (レス) @page33 id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊
| 作成日時：2023年12月9日 9時
