・ ページ9
．
｢ハニもいる？写真」
JH｢いらない。印刷するの面倒だし」
｢じゃあ、印刷したら持って行くよ」
JH｢置く場所ないから」
｢最近、専用の棚作ったってソクミニから聞いたけど」
JH｢……」
そして、その度に写真もたくさん撮る。
基本的にはAが撮るばかりだけど、今回は親切なおばあさんが撮ってくれた。「2人の写真はいくらあってもいいんだよ」って。
その写真がこんなに笑っているのは、ほら、あれだ。
Aが冗談で持ってきたとかいう麦わら帽子をいきなり被せてくるから笑うしかなかったのだ。
｢今度はどこに行こうね。ハニ」
JH｢なんでどこかに行く前提なんだよ」
｢きれいなものを1人で見るのはもったいないから」
JH｢それいっつも言う」
｢だって、本当にそう思うんだよ」
JH｢他にないわけ？」
｢…他？じゃあ、考えておく」
JH｢いいよ別に。無理に考えなくても」
｢そっか」と自分の言葉を受け流すように頷いたAが側を離れて机に向かう。
｢あぁ、そうだ。次は花火でも見に行こうか。ハニ」
JH｢花火？」
｢ああ、でもうるさいのはハニがダメだね」
JH｢…別に」
｢ハニが嫌って言うならジュニと行こうかな」
JH｢嫌とは言ってないし、行くけどさぁ…」
むくっと起き上がれば、机に向かっていたAがその音に気がついて回るイスをくるりと回転させて自分の方を向いた。
笑ってもいないけど、無かと言われればそんな感じもしない。
相変わらず分かりにくい表情をしている。
JH｢どこかに行く前にお前はオレの側にいなきゃダメじゃない？」
｢ああ、出た。不機嫌ジョンハニの最終形」
JH｢今日も朝から１人で出掛けたりしないでさ」
｢大魔王だ」
JH｢うるさい」
じっと自分を見つめたあと、柔らかく細められた目は相変わらず綺麗で、綺麗だから今の自分にとってはちょっと腹が立つ。
けど、きっと明日になればまたそんなことも忘れて、その目に自分が映るように、と。悔しいくらい願ってしまうんだろう。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます☺︎そう言っていただけて嬉しいです。読む人それぞれ色んな捉え方をして楽しんでいただけたらと思います🙌🏻 (8月11日 22時) (
レス) id: f0f6ce6cb0 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - こういうどちらの性別とも取れるお話大好きです！！！！性別が選択できってだけでだいぶ違う見方ができますからね！！！最高です！！！続き楽しみにしてます！！ (8月11日 12時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊
| 作成日時：2023年8月10日 22時
