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「もう十分出世してると思うけど？」なんて言いながらウォヌヒョンが一度ドライヤーをソファーの上に置くと、Aの髪に手を伸ばした。
Aの頭の真ん中あたりから指を通して、そのまま下に真っ直ぐ。するりと髪を通り抜けていくウォヌヒョンの指を目で追う。
一瞬、何をしているんだろうと思ったけど、あれだ。
あれは、ほら、ヘアオイル。
ほんの少し甘い香りのするそれにAが気がつくと、「それ誰の？」と首を傾げた。
WN｢なにが？」
｢今塗ってるやつ」
WN｢Aのだよ。シュアヒョンからA用のやつ借りてきた」
｢ああ、シュア。わざわざ持ってきてたんだね」
WN｢わざわざも何もいつもこれをシュアヒョンにやらせてるのはAじゃないの？」
｢やらせてるんじゃなくて、シュアは自分の髪を乾かすのが好きなんだよ」
WN｢Aがやらないからじゃなくて？」
｢さすがに放って置かれたら１人でやるよ。ただ優しさの塊みたいなそういう人がいるから危機感をなくすだけで」
WN｢あっそ」
｢ウォヌもね」
WN｢なに？」
｢ウォヌがこうやって甘やかしてばかりいるから自分がダメな人間になっていくんだよ」
そうやって言い退けたAのことをヒョンが“はいはい”と受け流すと、ようやくドライヤーの電源が付いた。
風の音に混じってAが何か言って、ウォヌヒョンも何かを言い返した気がするけど、向かい側に座っている自分のところまでは上手く届いて来ない。
ただ何となく、シュアヒョンがどうとか言っている気がするけど。
うーん、と頬杖をついて考える。
シュアヒョン。シュアヒョンはね。
確かにあのヒョンはAの髪を乾かすのが好きなのだと思う。というかAの髪が好き？
いや、髪とかそういう枠も外して、今まで１人っ子として過ごしていたヒョンの目の前に１つ年下のAが現れたから一際かわいく見えたのだろう。
元々は俳優をしていたとしてもアイドルの練習生としてのAはシュアヒョンと一緒に過ごすことが多かったし、ヒョンの言葉をなんの弊害もなく理解できたのはボノニとAだけだったし。
あの３人って意外にテンション感も似ている気がするんだよな。
……アメリカの血？まあ、Aには入っていないけど。
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柊(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます☺︎そう言っていただけて嬉しいです。読む人それぞれ色んな捉え方をして楽しんでいただけたらと思います🙌🏻 (8月11日 22時) (
レス) id: f0f6ce6cb0 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - こういうどちらの性別とも取れるお話大好きです！！！！性別が選択できってだけでだいぶ違う見方ができますからね！！！最高です！！！続き楽しみにしてます！！ (8月11日 12時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊
| 作成日時：2023年8月10日 22時
