・ ページ22
．
｢拗ねたちゃったかな」
DN｢確実にね」
｢そっかそっか」
DN｢なんか…楽しそうだね？A」
｢まさか」
そう言ってAが練習室の隅に追いやられていたホシヒョンのバッグを拾い上げる。
そうして底についた埃を払うと、そこからゆっくりと視線を上げて「スニョンはさ」と口を開いた。
「…ん？」と聞き返したときに見えたAの目は、なんというか、さっきの楽しげなものから優しさに変わっている気がした。
｢スニョンは、宝石箱みたいな人だったよ」
DN｢え？」
「それも中にたくさん宝石が入ってるタイプの」とAが言う。
｢これが第一印象になるのか分からないけどね」
DN｢うん」
｢スニョンは最初からキラキラしたものをたくさん持ってて、どんなに難しくても根気強く磨き続けてたから。
だから、スニョンは出会ったころから今もずっと眩しいよ」
DN｢きらきら…」
｢最近はもう自分で言うようになったけど」
そこで、なるほど、確かに＿＿と。
そう簡単に頷いてしまっていいんだろうかと思ったのは、Aがあまりにも、珍しいほどに真っ直ぐな言葉をヒョンに向けていると感じたからだったと思う。
あのころのAの目に映ったヒョンがどれほど煌めいて見えたかなんて、自分には到底分からないものだと思ったから。
｢ハムスターみたいで愛嬌があってかわいいと思ったのも事実だよ」とそんな思考を遮るようにAは言ったけど、
もしかしたら、ヒョンがよく言っている『オレがかっこよかったからAはここに来たんだよ』って言葉はやっぱり嘘ではないのかもしれない。
DN｢ねぇ、A？」
｢うん？」
DN｢今のを全部、ちゃんとヒョンに言ってあげたらものすごく喜ぶと思うんだけど…？」
Aの方を見れば、セットされていない髪の毛がさらりと揺れるのが分かる。
長めに伸びてしまった前髪の奥で、その目がゆっくりと細められたかと思えば、｢いやだ」とAが口角を横に引っ張って笑って見せた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1499人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます☺︎そう言っていただけて嬉しいです。読む人それぞれ色んな捉え方をして楽しんでいただけたらと思います🙌🏻 (8月11日 22時) (
レス) id: f0f6ce6cb0 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - こういうどちらの性別とも取れるお話大好きです！！！！性別が選択できってだけでだいぶ違う見方ができますからね！！！最高です！！！続き楽しみにしてます！！ (8月11日 12時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊
| 作成日時：2023年8月10日 22時
