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Aが初めて自分たちのいる練習室に現れた日のことはよく覚えている。
別にそのときのAは練習生なんて肩書きは持っていなくて、代表に呼ばれたとか代表を探しに来たとかで丁度廊下にいたスニョンと自分に声を掛けてきた。
そのときスニョンがすぐに『あ、』と言ったのは、Aと面識があったからじゃなく、こちら側が一方的にAを知っていたから。
もちろん自分も。
櫻木Aという人物の存在は、なんとなく知っていた。
というか耳にすることが多かったのだ。
この事務所に俳優として所属していて、会社の中に足を踏み入れるとポスターが貼られていたり、CMが流れていたりする。
一時期、代表の携帯の待ち受けがAとの写真だったこともあった。子どもか、孫か。
とりあえずそれくらい代表にとっても可愛い1人であって、あのときからAはよく人を惹きつける人間だったと思う。
そうでもなければ、俳優なんて仕事やっていられなかったと思うし。
WZ『楽器弾けんの？』
『ピアノとギターとクラリネットと…あとはサックス？』
『ペットも吹けるけど、あれはすぐ口が痛くなるから』と言ったAを見て、ふーんと思った。
それは別に上から目線や特別深い意味があったわけじゃなく、単純に興味の対象として。
HS『好きなの？』
WZ『誰が？誰を？』
HS『ジフニがAを』
WZ『…はぁ？』
HS『そっか、ジフニはああいうのがタイプか……』
WZ『勝手に話を進めるなよ』
珍しく他人に興味をもった自分にスニョンはいつも不思議そうな顔をしていたけど、理由なんて１つだった。
WZ『Aはほら、なんか、歌わせてみたいんだよ』
HS『ジフニが作った歌を？』
WZ『それは分かんないけど』
HS『なるほど………』
WZ『分かってないだろ』
HS『まあ、うん』
声や仕草に惹かれたのか。いや、そういうことでもなかった気がするけど、結局はこどもの好奇心だ。
目新しいものがあったら触れたくなるし、知りたくなる。
そのころのAって一体どこで何をしているのかよく分からないやつだったから余計に。
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柊(プロフ) - 本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好きさん» ありがとうございます☺︎そう言っていただけて嬉しいです。読む人それぞれ色んな捉え方をして楽しんでいただけたらと思います🙌🏻 (8月11日 22時) (
レス) id: f0f6ce6cb0 (このIDを非表示/違反報告)
本屋と図書館とガソリンスタンドの匂いが好き(プロフ) - こういうどちらの性別とも取れるお話大好きです！！！！性別が選択できってだけでだいぶ違う見方ができますからね！！！最高です！！！続き楽しみにしてます！！ (8月11日 12時) (レス) id: b9b005fe2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊
| 作成日時：2023年8月10日 22時
