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もうここまでくるといよいよ頭を抱えざるを得ない。え、私たちって今会話成り立ってるよね?大丈夫だよね?そう自分に問いかけながらひとまず『雲…?』と問いかけてみる
「曇って毎日見てても飽きないし、いろんな形に変形するし、なんか可愛いんですよ」
『それを言うなら虹だって、いろんな色が重なってできてるからこそ綺麗だし、アーチ型なのも可愛いし…』
「でも俺は雲が好きなんです。………なんかA先輩に似てますしね」
落ち着いて。別に雲と私が似てるなんて、お昼にハルトにも言われたじゃん。だから彼の今の言動は特にそんな深い意味はないはず
『それハルトにも言われたけど、私と雲の共通点なんて毎日白っぽい服を着てるってことぐらいでしょ?』
「それもありますけど…」
『だったら私から言わせてみれば、ドヨンくんだって虹っぽいよ?私が知ってる限り、ドヨンくんていつも奇抜な色の服を着こなしてるじゃない?それに時々しかサークルの飲み会にも出席してないでしょ?まるでカラフルで時々しか出現しない虹みたいだよ』
「ん〜…そういう理論的な感じじゃなくて、俺が言いたいのは…」
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「A先輩って雲みたいに掴めないっていうか、だだっ広い青い空で勇逸白く浮かんで目立ってるのに、雲自体はその事を特に自覚してない感じが、なんか似てるんですよ」
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今まで生きて来て、こんなに頭を使いながら同年代の人と会話をしたことはあっただろうか。
否、ない!!
なにを言ってるのか本当にさっぱりだ。感性?価値観?多分この子は何かがズレている気がする
掴めない?目立ってるのに自覚がない?雲を見てそんな事を考えている人はきっとこの世の中でドヨンくんただ1人だけだ。しまいにはそれを私と重ねるって本当に理解に苦しむのだが…
『あ、私の家ここです』
そしてようやくここで、不思議な彼との奇妙な交流に幕が降りる。
「具合悪いの本当に大丈夫ですか?」
『うん…なんかドヨンくんと話してたら寝不足も一気に吹き飛んだよ…』
「本当に?なんか嬉しい」
満足そうに微笑んでいる彼には申し訳ないけど私はドッと疲れているし、君のこともまだ信用してないからね?と言葉にせずとも念を送る。
不思議な不思議なドヨンくん
そんな彼とせっかくまともに話すことが出来たのに
その正体は、以前より何倍にも増して謎に包まれただけだった
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作者名:dani | 作成日時:2024年3月22日 14時