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「あ、虹だ」

『んー?どこどこ〜?』




ほらあそこ!そう言って彼が指を刺した先には、青い空に橋がかかったような綺麗な虹が浮かび上がっていた。





『わ、綺麗。写真撮ろ〜っと』




スマホを取り出してパシャリと何枚かシャッターを切る私を見守るように静観するドヨンくん。そんな彼に『ドヨンくんは撮らなくていいの?早くしないと消えちゃうかもよ?』と、少し興奮気味に言ってみると、「いや…なんか…」そう言って口籠もってしまった。





『もしかして、虹嫌い?』

「んー嫌いではないんですけど…」




そう言ってスマホを握りしめている私を見つめるドヨンくんの瞳は心なしか熱を帯びているように感じた。











「はしゃいでるA先輩の方が綺麗で、先輩こそを撮りたいなって」












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ドキッと胸が弾んで、うるさくて


ああ、やばいかも。このままだと私、この子に簡単に落とされそうだ




そう思って気持ちにセーブをかけたいのに、忙しなく鳴り続ける自分の心臓の音はもう歯止めが効かなくなっている



誰かにこんなストレートに素敵な言葉を言われたことなんてないし、なんならドヨンくん以外の人がそんなセリフを言った際にはキザすぎてドン引きしてしまうかもしれないというのに、どうして彼が言うとこんなにも心が動かされるのだろうか





「先輩、今撮った虹の写真ください」

『……え?…あ、う、うん!写真ね?写真写真……ええっと…どうやってあげればいいんだっけ?』

「あはは(笑)そんなに動揺しないで下さい。ただの連絡先を聞き出す口実ですから」





いやいやヤバいって。もうお願いだからズキュンズキュンと私の胸に穴を開けるのはやめてくれないかな


どうしてそんなことを言ってくるのかとか、まるで期待せずにはいられないような彼の発言にタジタジな私はもう成す術がなくて大人しくトークアプリを開いて自分のQRコードをドヨンくんに向けた






「A先輩は虹が好きなんですね。可愛い」




へへっと笑いながら立て続けにとんでもなく恥ずかしいことを言うドヨンくん。…やっぱりただのチャラ男?それともやっぱり天然タラシ?いや、それかドヨンくんて私のこと…いやいやないない自意識過剰にも程があるだろ私…!






『に、虹って綺麗でしょ?それに毎日見れるものじゃないから特別感があるし私は好きだよ』

「俺、青い空にゆったり浮かんでる雲の方が好きです」







はい?



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作者名:dani | 作成日時:2024年3月22日 14時

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