笑顔の彼は【日沖壮磨】 (ページ5)

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2017年4月______

早く野球がやりたくてやりたくてうずうずしてる私がいる。

中学の担任には野球をしに学校にきていいんだと言ってもらった。

ここでもそうやったらええな。

早速仮入部に来た。

どこから入ればいいのか分からなくてウロウロしていたら見るからにチャラそうな先輩に絡まれた。

　「めっちゃかわいいやん！なんて名前なん？」

　「羽根Aです、」

いや普通に怖いんですけど。

越山ってこんな人がうじゃうじゃおるってこと？

めっちゃ無理すぎる。

　「俺が紅岡でこっちが野原よろしくな」

　「よろしくお願いします、」

紅岡さんと野原さんのカバンを見てみれば野球バックだった。

今後直属の先輩になる人たちやん！！

こんな人ばっかなんかな。

この先不安すぎるわ。

　「ところでAちゃんはマネージャーやってくれるん！？」

いきなり名前でちゃん呼びキツすぎなんやけどお、

　「いや〜、どっちにしよっかなって」

私はヘラヘラ笑って2人から入り口を聞いてそのまま自転車でグランドに向かった。

2人は私が言った意味がどういうことなのか分かってないみたい。

制服できたけどええんやろか。

やっぱりさっきの先輩たちみたいにみんな私がマネージャー志望やと思われんのやろか。

グランドにはすでに山住先生と部員がちらほらいた。

投球練習をしている人に見覚えがあった。

　「あれ、犬塚さんやん」

星葉に行ったんやとずっと思ってた。

だってあんなにもうまかったのに。

気まずいったらありゃしない。

まあ誰がいるのか見もしなかったのは私なんやけど。

でも犬塚さんがあると分かっても、それでも野球を続けたいという気持ちが勝る。

現に犬塚さんは私をいじめてたわけやないし。

グランドには1年生もちらほらおっておんなじクラスの中世古くんもいた。

　「羽根やん。マネージャー志望なん?」

　「んー、どうかな。」

やっぱり選手をやりたい。

そうやって男子に言うのは怖かった。

私は山住先生が選手たちから離れていることを確認して話しかけに行った。

　「すいません。1年の羽根なんですけど、」

　「羽根さんね。マネージャー志望？」

やっぱり山住先生は覚えてないみたい。

まあ去年のことなんて覚えてることなんてそうそうないか。

　「去年、女でも選手はできますかって聞いたんですけど。ええですか？」

拒絶されたらどうしようそんな不安が胸を押し寄せた。

怖くて逃げてしまった。