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壮磨くんとの約束があるにも関わらず、野球をすることがしんどくなった。
私の家は他の野球をやってる子達の家に比べると裕福とは言えなかった。
母に無理を言ってなんとか入れてもらったからやめる気なんてなかったのに、
一度だけさぼってしまった。
さぼってしまえば次が行きにくくなった。
いっそやめてしまえばつらくなくなるんじゃないの?
壮磨くんには嘘をついて申し訳ないと思う。
だけどまた会える気がするから。
母に謝り、バーズをやめた。
それからは何をやるにも上の空でつまらない日々を送る。
2014年10月_____
ある日、担任に呼び出しをされた。
「何か楽しみを見つけたら?」
私の楽しみはすべて野球だった。
それをやめてしまったら、私には何も残らない。
「軟式だけど野球部に入ってみたら?」
何も言わない私に担任はそう言う。
「やけど、私は女ですやん」
「うちの野球部の子らは性別で判断しやんよ」
私がなんで野球をやめたのかも先生には分かるんやな。
「途中から入っても何も言われませんか」
「言わんよ」
安心した。
男子選手は女子選手のことをみんながみんな馬鹿にしているのがとばっかりおもってた。
今までは野球をやるには女でいることが出来なかったけど、ここでは女でいれるかもしれない。
すぐに入部を決めた。
2016年6月_____
私は3年生になり、念願だったエースの座につく事ができた。
男子と張り合いながら野球をできるのは今年まで、今まで以上に部活には力が入る。
ちらほらと高校のスカウトが見られるようなった時越山高校の山住先生という人が同級生のショートを勧誘しに来ていた。
私は家から自転車で通える越山に入るということは中学に入学したときから決めていた。
私は山住先生に質問しに行っていた。
「私は野球部に入れますか。」
「え?」
山住先生はきょとんとした顔で私の方を見た。
「いきなりすんません。私羽根Aっていいます。選手やなくてもええんです。マネージャーでも大丈夫なんです。」
先生は私が野球をやりたいのを分かってくれたのかこう言ってくれた。
「選手でもマネージャーでも大歓迎やよ!性別なんて関係ない。ぜひ越山きてな!!」
バーズにいた頃と全然違う。
世の中ってこんなにも優しいんだと実感した。
私は目の前のことに精一杯で壮磨くんのことを忘れていた。
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作者名:腐女子なとろろこんぶ | 作成日時:2023年11月30日 22時