全てが僕たちの宝物-特別編ⅱ- (ページ49)

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ピー！ピー！ピー！

バタバタバタッ

ピコン！ピコン！

・・・ん、何・・？

暫く寝てたけど、周りが騒がしくなったのを感じて目が覚めた。

ここはICUやからしょっちゅうアラーム音は聞こえてくるけど、今回はやたら大きい。

あ、隣から鳴っとるからか。

カーテン閉まっとるし急変かな、大変やな・・・・

ん？え、もしかして

お兄さんのとこ！？

一気に目が覚めた。そんな体力ないはずやのにベッドからガバっと起き上がってお兄さんのいるベッドの方を見つめる。

お兄さんどうしたんやろ・・・

心配で、不安で、怖くて。

どうしよう

医「三越さーん？聞こえますかー？・・・アドレナリン追加して。除細動器も・・・」

カーテン越しに聞こえてくる知らん先生の焦った指示。

お兄さんの姿は見えない。けど、お兄さんが大変なんやってことは俺にも分かる。

なんで？なんで急に・・・

急に？

寝る前、お兄さんが俺に言った言葉を急に思い出した。

"楽しかった"、"ありがとう"、"見守ってる"・・・。

これ・・全部お別れのときに言う言葉やん・・・っ

嫌や！！なんで！？

北「目、覚めた？」

あ、北山先生来た、

廉「せんせ、お兄さっ、大丈夫よな？なあ？！」

北「廉一回落ち着いて？」

廉「嫌や！なぁ、大丈夫よな？！」

落ち着いてなんかいられなかった。

ほんまに怖くて、もうどうしたらええか分からんかった。

北「廉？一回深呼吸。」

廉「ﾊｧｯ・・、ハァッ・・・、はぁっ・・・」

北「ちょっと落ち着いた？」

廉「ん・・・」

どうにか少し落ち着いた・・・と、ほぼ同時にお兄さんのカーテンも開いた。

良かった、大丈・・・

と思ったけどベッドごと移動させられる準備されとる。

廉「おにぃさ・・・」

辛くて、悲しくて、やっと声を絞り出す。

あ・・・・

こんな声でも聞こえてたのか、ぐったり目を閉じたままのお兄さんが密かに、一瞬"頑張れ"って親指を立ててくれた。

でもほんまに一瞬で、そのままベッドごとお兄さんはICUから去って行ってしまった・・・・

心配・・・やけど、お兄さんとの約束やもん。お兄さんがエールをくれたんやから。

言わなきゃ。

北「廉、お話したいことがあるんだけどちょっといいかな」

廉「・・・うん」