83 ページ36
.
私の異動を報告すると
あっけらかんとしていた松村の顔は
あからさまに表示が曇っていた。
「……なんだ、もう聞いてたのかよ。」
「え？」
「異動、どう？嬉しかった？」
「嬉しかった…？」
急に松村はどこか人が変わったかのような
元々低い声をさらに低くして、そう聞いてきた。
「…え、いや…そんなの急に言われても…。」
「お前にとっては寂しい、っていう気持ちしかまだないか。お子ちゃまだもんなぁ。」
「ちょっと、私はただ、異動するって伝えただけじゃん…！」
「へー。」
「あー…私が異動で寂しいからそうやって、当てつけてんの？」
「んなわけ。」
「……じゃあなんでそんな表情…。」
なによ、急に。
見た目も今まで見てきた松村じゃないせいで
さらに松村じゃなく見えた。
こんな態度もするような人じゃなかったし…
ジェシーも松村も
言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに…
男って大概がそういうもんなのかしら…
「ジェシー、」
「…え？」
「ジェシー、お前の異動、驚いてたか？」
「そりゃあ…なんか彼自身もその部署？を知らなかったらしくて…変だけど、もしかしたらジェシーがちゃんと聞いてなかっただけかもしれないしね…」
「いや？ジェシーに内緒でお前をこっちに付けちまえば人質を取ったもんよ。」
「………え？」
「……人質って言葉…知ってる？」
「………。」
松村は冷たい目をしたまま
目の前のコーヒーに手をつける。
私の目は愚かにも松村の綺麗な喉元に目がいく。
彼の喉仏がゴクッと動くたび
コーヒーを楽しんでいるようにも見える。
ただ、沈黙が続く。
松村が次に発する言葉が
嫌な言葉な予感しかしないから。
「お前の異動する部署、俺が立ち上げたんだよ。」
「………え」
「…だから嬉しいか聞いたんだ。自分が異動する部署はジェシーにとって、最も1番近く、1番危険な部署になる事…。そこに自分が行くかもしれないって。どう？って」
…あぁ。
何で嫌な予感って言うのは
こうも簡単に当たるのだろうか。
「…じょ、冗談やめてよ。何であんたみたいな平社員……」
「平社員ねぇ…まぁ、身元を隠すために必要だった地位って所だな。」
「身元？」
「薄々気付いてんじゃないの？それも。」
「俺は、ジェシーと一切血の繋がってない兄弟だよ。」
.
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←82
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 610人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
unim(プロフ) - sakuraさん» いつもご愛読してくださりありがとうございます！ぜひ新作がしっかり更新できるようこちらの作品を進めていきたいと思います！是非これからも宜しくお願い致します！ (2021年2月22日 10時) (
レス) id: 2e9c62ee0b (このIDを非表示/違反報告)
unim(プロフ) - ヒヨコさん» お返事遅くなり申し訳ございません(*_*)次回作へのコメントありがとうございます！ぜひ参考にさせて頂きます！これからも是非ご愛読宜しくお願い致します！ (2021年2月22日 10時) (レス) id: 2e9c62ee0b (このIDを非表示/違反報告)
unim(プロフ) - モアさん» お返事遅くなり申し訳ございません(*_*)次回作へのコメントありがとうございます！ぜひ参考にさせて頂きます！これからも是非ご愛読宜しくお願い致します！ (2021年2月22日 10時) (レス) id: 2e9c62ee0b (このIDを非表示/違反報告)
sakura(プロフ) - 久しぶりにサイトに戻ってきたら私の大好きなこの作品がまた再開されていて嬉しいです！しかもunimさんの新作までできるとは！！楽しみです！！ぜひ次回作もジェシーくんでお願いします！これからもご無理なさらず更新頑張って下さい！ (2021年2月2日 12時) (レス) id: 046f4242ca (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコ(プロフ) - いつもお話、読ませてもらってます!とてもキュンキュンしています｡次回作もジェシー君がいいです。これからも無理のない範囲で､更新頑張ってください! (2021年1月27日 16時) (レス) id: 48bea02da8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：unim | 作成日時：2020年8月21日 7時
