君についたウソ 2

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side : Jesse





俺は、ズルい。



偽造婚約の契約を逆手に取って
こいつを逃さないように
婚約を公表するとしようとしている事。



これからそれをAに説明をしなくてはいけない。



俺なりに、公表をする
理由をちゃんと考えた。



まず、正直な話…



初めて、恐怖を感じた。



今日アイツを利用して会長に楯突いた。

勿論アイツの顔も名前も公表してない。
流したのはそういう存在があるという事だけ。


"よく覚えておけ…。"


会長の言葉はそのままの意味であったに違いない。


俺は生半可な気持ちで
今の座に着いていないのは本心である。

絶対に守り通さなくちゃいけない
ものがある事。それは宿命に近い。


会長の言いなりで見合いなんかさせられたら
俺は完全に会長の駒になって終わりだ。
その宿命のスタート地点に立つどころか
それは地獄の始まりになってしまうから。


でも、被害があるのは
俺だけではない。

もしかしたら、アイツにも
何か起こるかもしれない。


だから、
俺には"守る"存在がもう一つできてしまった。



また別で完全に俺の勝手な
欲の押し付けというのもある。


Aに好きな人間が居ようとも、
今後できる可能性があったとしても、
出会ってからまだそんなに時間は経ってなくても、



アイツが誰かの隣にいる

そんな事を考えるだけで…
胸が痛むのだ。





"私じゃなくても良かっただろうけど…"




あんな言葉を二度とコイツの口から
聞きたくないと思ったんだ。


非常階段の時、
mariée(マリエ)に連れて行こうと思った時、
会議室で見つけた時、
慎太郎の携帯からみた合成写真を見た時、




俺の隣で単純で綺麗な
欲まみれな目を持っていたAを見た時から、





実は、"欲しい"



それ以外の感情。


いや、"それ以上"の間違いだ。


Aに対して
"守りたい"という感情が芽生えていた事。

さっきそれを自覚した事。




全て…Aに正直に話そう。


俺の気持ちを。


婚約を公表したい理由を。





ちゃんと説明しない限り、
アイツのことだ。絶対納得なんてしない。


まぁ、反対される可能性は100%なのは
変わりないんだけど…。



"あんたの頭の中何考えてんの！バッカみたい！"



"ちゃんと自分のためになる事を考えてって言ったよね？！"




そんな風に、怒り狂うんだろうか。




「…フッ、それもいいか。アイツらしい。」









でも、お前が返してきた言葉は
そんな言葉じゃなかった。



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