俺のワンダーウーマン【青】 (ページ9)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:36,457 hit

- ページ9

とりあえず入った形跡をなくすために、携帯も元の場所に置いた。
そして婚約指輪の入ったあのパンドラの箱も元に戻す。

正直Aは、正義感が強くて、恋愛なんか興味のない女の子やと勝手に思ってて。
華奢で可愛いのに警察官なんて似合わない仕事してて。
俺が好きになるのはそういう特殊な女の子やと思ってて。

全部勝手な思い込みやのに。

Aは結局どこにでもいる子で。

リア充な、そしてライブでよく見る、
"あ、あの子まあまあかわええな。"程度のいわゆるほとんどジャニオタ。

そんなどこにでもいる女の子を好きになってしまった自分が信じられなかった。

「……ふっ、俺、完璧に好きになってもうてるやん。」

思わず独り言が漏れるほど俺はAに夢中やった。

でもなんで望なんやろう。
いっそのこと俺のファンやったらもっと受け入れられるのに。笑

そんなことを考えてたらソファでうたた寝してしまった。

-

//ガチャッ

「お帰り」

何事もなくAを迎え入れた俺は、Aが撮り溜めてたドラマを見てHDDを消費している。

『携帯忘れちゃって、どこにあるか知りません？』

「おーん……部屋の方でなってた気いする。」

『ごめんなさい、うるさくて…』

「ええでー。」

明後日の方向を向いて、適当な返事。
まるで聞いてないかのように振る舞った。

『ご飯パスタでいいですか？』

「たらこパスタがええなあ。」

『……………冷蔵庫ばっちり把握してますね。笑』

「…ふはっ、バレた？笑」

そんな他愛のない会話をしながら、Aは手際よくたらこパスタを作ってくれた。

-----------------

今日は午後から仕事。
適当にシャワーを借りて、昨日持っていた俺の全財産の荷物を持って出かける仕度をした。

『これ、鍵です。いってらっしゃい。』

「ん。ありがとう。」

ただの同居人には、もちろんいってらっしゃいのキスもないわけで、差し出された合鍵を握りしめながら出かけた。