[wrwrd]青に溶ける (ページ47)

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然し、私の疑問はさっさと黙殺されたようで、「あ、トン氏協力して呉れんの？」と鬱様。「ロボロかゾム辺りに協力仰ごうと思うとったんやけど」

「否、其処等辺は勿論協力要請やけど、まあ、な」

ええええ……。

殆ど自己紹介の時と国営放送の画面越しにしか対面さえしない人が、何故一補佐官の、些細な嫌がらせ解消の為に動くのか……。

「此処最近戦争も無かったし、平和ボケしとるよなあ。高が数年やのに」

唐突に、そんな事を我が上司は言い出した。

「自分の階級も解ってへん処とか、能力値の差も弁えてない処とか、なあ」

軽薄な笑顔の裏に夜を抱えて、不気味にさえ思える笑顔は、口角の釣り上げ方だッて何時もと一つも変わらなかった。

「まあ、流石に『現実見えてんの？』って奴は多なったよな。一寸平和が続いとるからって」

口端が引き攣る。冗談には聞こえない。

最高幹部たちのその強さは正に一騎当千、そんな彼らは実に争いごとを好む。適当な兵士では相手処か暇潰しにさえならず、内ゲバは通常運転の代名詞。

退屈そうに「平和」と言う言葉を言う辺り、実に性根に沁みついて居る闘争本能が、確実に争いを求めて居る。

「一回、風紀を正す必要がありそうやな」

「丁度良い具合に嫌がらせ受けとる奴もおるし、ここらで一回締めときますか」

なあ？

そんな風に哂う鬱様と書記長。

最早何を言う事も無い。只ふと頭を下げた。

元々制御なんてできてはいないが、もう此処の『之』は収まる事は無いだろう……。

.

一旦こうして……否、こんな風に話がまとまると拙いと言えば拙いのだがもう諦めて……話が纏まったため、私達は自分達の部署へ戻る事になった。

「……一つ、お聞きしても良いでしょうか」

「何？」

何時もよりも何処か素気ない声だった。だが、答えようとはしてくれるらしい。口を開く。

「……私が本当に自分の都合だけで遅刻したとは、何故思わなかったんですか？」

そう。本当にこれが謎だったのだ。別に、只遅刻したからって本当に寝坊しただけかもしれないし、うちの上司の様にサボっただけかもしれない。

何故「何かあった」と断定したのだろうか。

「ンー……さっき言うたけど、仕草とかが何時もとちゃうかったから」

「此処最近、何か様子可笑しいなって思うとったから」

其れに、と、鬱様は言葉を続ける。

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「余程遅刻なんてせん奴がそうなったって事は、『そう言う事』やと思うやん？」