[wrwrd]青に溶ける (ページ37)

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此処の給仕さんの一定数は、私の事をよく思って居ない。

まあ理由なんて考えずとも察する事が可能だ。一つは私の此の性格だろうし、何よりうちの上司だろう。屑系イケメンだのなんだの言って人気のある彼の第一補佐官が女。

大して能力が高い訳でも無いし、何よりその最高幹部に対して遠慮と云う物が存在しない。

まあ、嫌われるよな。自分でも納得する。

にしても私は最低限以上にメイド達に関わりもせず、プライベートに問題の上司と関わり合う事は一切ない。基本的に、訓練兵時代の同期なんかにはそれなりに友達もいて関わるが、基本一人だ。

……少し切ないので、その事は置いといて。と思考をリセットする。

まあそう云った訳で、私は女性方や、彼女達が欲してやまない上司などとの交友と言う『お楽しみ』を放棄し、その代わりに其の煩わしさも総て放棄してきた。

彼女たちは常に遠巻きで、仕事以上に関わろうとしない此方を、関わり辛そうに噂し見詰るだけだった。まあ好い気分ではないが、面倒に巻き込まれて居ないだけマシなのだ。

……が。

其れは『今迄』の事だったに過ぎないようだ。

まあ、寧ろ、今の今迄こう言った『こと』に巻き込まれずに済んだこと自体まあ奇跡だ。相当嫌われている自覚があったから。

とは言え、此方も殆ど未経験にこの様な事をされると少しは傷つくのだが……。
彼女たちは私の精神力を鋼か何かと勘違いしているのだろうか。そんな誤解は無くともこうなるんだろうけれど。

何が起こったか。

部屋が荒らされている。

其れも、空き巣か何かが入ったのかって位、丹念に。

何故嫌がらせだと特定したのかと言うと、唯単に『何も盗まれていなかった』と言う事と、私の辞職を求めるカードが置かれて居たからだ。

指紋は期待できないだろうし、そんなものを調べて何になる。

其れなりの数いるメイドの一定数の一人をとっちめた処で、うじゃうじゃいるのだ、向うは。

清掃と言う名目で入ったのだろうし、拒否目的の施錠をしていなかった私も悪いのだろう。とはいえこの犯人を赦す心算は無いが。

と言うか、仕事帰りに部屋を荒らさないで欲しい。
せめて荒らすなら、其の日か翌日が休暇の時とかにして、此方の都合も考えて荒らして欲しい。

まあ、荒らしている時点で此方の都合も何もないのだが。

下らない事を考えながら、物の少ない部屋の片づけを黙々とこなして行く。物をあまり持たない主義で良かった、と思った。