風邪の話 ページ14
大｢ただいまぁ、｣
｢おかえり、早かったなぁ｣
大｢…ごほっ、｣
午前で今日は仕事が終わりって聞いてたから、
一日休みの僕はお昼ごはんを用意して大吾の帰りを待ってた…けど。
｢大吾？大丈夫？｣
部屋に入ってくるなり咳き込む。
大｢ごほ、ん、大丈夫｣
｢大丈夫ちゃうなぁ。なに、風邪？｣
大｢…かもしれん｣
朝は大丈夫だったんやけど、と話す大吾はなかなか辛そう。
｢お仕事中は？｣
大｢…途中でしんどくなってきて、撮影巻いてもらった｣
｢熱ありそう？｣
大｢ん。あつい｣
｢ベッド行っといて。｣
大｢…っごほ、ごめ｣
｢体調不良はどうしようもないって、
いっつも大吾が言ってくれるやろ｣
大｢…せやね、笑｣
弱々しく笑う。
作ってたご飯は後に回して、消化に良いものでも作るか。
風邪薬と冷えピタを持って、ベッドへ。
｢薬のむ？｣
大｢ん、ありがとう｣
｢おかゆとか作るけど食べれそう？｣
聞けば、なぜか少し悲しそうな顔をする大吾。
｢食欲なかったら無理して食べんでも、｣
大｢ちがう、…ごはん、作ってくれてた、やんな｣
食べれんくてごめん、とまた謝られる。
｢…大吾は優しいなぁ｣
冷蔵庫に入れとくから、元気になったら食べればええよ、
と言えば少し表情が和らぐ。
大｢おれ、…ほんまにAの料理すきやから｣
突然の告白に、辛そうな恋人を前にしながらも頬が緩む。
｢うん、笑｣
大｢はよたべたい、｣
｢…はよ良くなって、もりもり食べて｣
大｢うん。｣
｢おかゆは？｣
大｢…ちょっとだけ、｣
｢わかった。寝れそうやったら寝ときな？｣
大｢、うん｣
キッチンに立っておかゆを作り始める。
料理をするとき思い浮かべるのは、いつも大吾の顔。
そんなことを、いつか僕も本人に言えたら良いな、
なんて思う。
｢おかゆできた…よ？笑｣
おかゆの乗ったお盆を持って寝室に入る。
大人しく寝ている大吾の寝顔を見つめる。
寝れたならよかった。
いつも僕たちをまとめてくれて、
ジャンルを問わず色んなところに引っ張りだこの
人気アイドル。
たまに弱いところを見せるのは、
僕だけにしといてよ、なんて。
大｢あーんして｣
｢…あーん｣
大｢美味し。ほんまに、Aの料理めっちゃ好きやわ〜｣
｢元気なんやったら自分で食べてや｣
大｢…ごほっ、ごほごほっ｣
｢ん、辛い？｣
大｢なーんちゃって｣
｢…演技力が高いのも考えもんやなぁ｣
大｢どういう意味？｣
｢ほんまに風邪引いてた？｣
大｢風邪引いたとき、Aお母さんみたいになるやんな｣
｢もう知らん。二度と看病せん｣
大｢ごめん大好き愛してるって｣
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作者名：うつつ | 作成日時：2023年3月7日 18時
