うつせみの、君と。５

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やはり、

女の口から、口づけやなんて、
よう言わんかって、
そう濁す。


きみたかさん、真っ赤になりはって。

ちゃんと私の真意、伝わったはずやのに。


「なんやろな。
ただいまのいつものいうんは。
ちゃんと言うてみ？」


そないな事、したり顔して言わはるねん。


きみたかさんは、
いつもお優しいけど、

時々、意地悪になりはる。


それは決まって、床の中でやねんけど・・・


「分かってはるくせに！」


「分からへんから聞いておるんや」


「嘘つき！
きみたかさんなんか、もう知りません」


「ほんまに分かれへんのや。
Aは何をして欲しいねや？」


とぼけてはるんは、分かってるけど、
今日はほんまに折れてくれはらへんみたい。


「言うても、私のこと、嫌いになりはらへん？」


「当たり前や。
もっと愛おしいなる」


愛しい方がそんな風に言わはるなら。


「・・・きみたかさん。
ただいまの口づけ、忘れてます。
寂しいです」


声は震えて、
お顔は見られへんまんま。

羞恥に消え入りそうになりながら、
ありったけの勇気を集めて声にしたのに。

きみたかさんは、固まってはる。


「きみたかさん？」


「あ、・・・あまりに可愛ええて。
そないなこと言うもんやから」


「きみたかさんのせいです！
言いたくなかったのに」


「・・・可愛ええてたまらん。
これから毎日ねだってもらうことにしよう」


「嫌です。
恥ずかしい」


「なら今、もう一度」


「やから嫌です。
もう恥ずかしいて、消えたいのに・・・」


「拗ねんといて。
A。
男は単純やから。
惚れた嫁さんに、
甘えられたら、嬉しいもんねん」


くしゃあっと笑う、
きみたかさん。

その表情に釘付けになってる私の肩を、
そっと引き寄せて。

ふわっと、甘い口づけをしてくれはった。



こない優しいて素敵な方の妻になれたこと。

神様に感謝せな、ばちが当たる。


続いてく未来を、大事に大事にしよう。

新しい命と共に。









少し経って、
悪阻も落ち着いた頃。

赤ちゃんを授かった事を、
私の両親のお墓に報告しようて。

きみたかさんが言うてくれはって。

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