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唇を歪めて、片頬だけで笑わはる。
「それはどういう意味ですか？」
聞き返す、声が震えた。
翔さんがおっしゃってた。
このお店は、昼間は純喫茶やけど、
夕刻から知る人ぞ知る賭博場になるという。
翔さんのお知り合いの華族の方の中に、
千景さん章大さん姉弟に、
投資話を持ちかけられて、
騙された方もいらっしゃるて。
ほんまやろうか。
すっかり変わってしまいはった、
危うげな、今の章大さんにも、
どうしようもなく、惹かれてしまう。
「お嬢ちゃんたちの知らん世界があるねん」
章大さんが曖昧に答えはった時、
奥の階段を降りる足音がして。
若い女の方が一人、
店の中に駆け込んで来られた。
「章大ぁ。
店の方におってんや。
あ、また気取ったお嬢様らが来てる！
足繁く通ったかて、
章大は私のもんやから。
さっさと帰ってや」
私たちを牽制した後、
慣れた仕草で、
章大さんの腕に絡みついて、
店の奥へと引っ張って行かはる。
「千春、暑いねんから。
まとわりつくなや」
面倒そうに言うてはるけど、
お二人が親しい仲なんは、
一目瞭然。
千春さんは、歳の頃はまだ、
１６〜１７やろうか。
あどけない笑顔をされてはる。
厨房との間仕切りの席に、
お二人並んで着いて、
千春さんは、店の店員の男の子に、
アイスクリンを頼まはった。
「章大、なんで起こしてくれへんかったん？」
甘えて、頼り切った声は、
恋する乙女のもの。
「お前が気持ち良さげに寝てたからや」
「気持ち良うなんか寝てへん。
怖い夢見てただけやもん」
「怖い夢？」
「そう。
荷車に乗せられて、
どこに行くんかもわからんまま、
運ばれてく・・・」
千春さんが涙ぐみはる。
「忘れ。
そんな大昔のこと」
章大さんが、その涙を無骨な親指で拭いはった。
胸に鋭い痛みが走る。
千春さんが、照れくさそうに笑わはって。
それから、
章大さんに抱きついて、
その頬に口づけしはった。
胸はずたずたやのに。
螺巻きの機械のように、
この手は、
溶けかけたアイスクリンを匙ですくって、
口元に運び続ける。
「Aちゃん、大丈夫？」
葵ちゃんが心配そうに、
私の顔を覗き込まはった。
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亜季(プロフ) - 章大さんが助けに来てくれた！もう死んでもいいと思ってしまいましたー。 (2019年6月11日 22時) (
レス) id: 48f0771830 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - あぁぁのめり込みすぎて…。章大さん来てくれて嬉しいけど苦しい(；；)きっと大丈夫ですよね…？？みんな幸せになって欲しい…！！ (2019年6月11日 20時) (レス) id: 3006a8e7b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりちぱ(プロフ) - ドドドどーなるんでしょう（ ; ; ）あぁ、二人には幸せになってほしいですー（ ; ; ） (2019年6月11日 20時) (レス) id: 6a5ff5c9be (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 誤解が解けて良かったです！！でも章大さんどこに行ってしまったんでしょう…早く主人公を迎えに来て欲しいです。。 (2019年6月10日 23時) (レス) id: a229f99d7b (このIDを非表示/違反報告)
亜季(プロフ) - そろそろ迎えに来てくれないと死んじゃいます、章大さん！ちゃんと話しに来てくれる所が、やっぱり根っから真面目な人ですね。 (2019年6月10日 22時) (レス) id: 48f0771830 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年5月28日 10時
